<巨人7-6中日>◇5日◇東京ドーム

 中日和田一浩外野手(42)が2日続けて無念の象徴になった。42歳の史上最年長サイクル安打へ、残すは単打1本。だが、8回は巨人山口から左膝に、9回はマシソンから左手首に。まさかの連続死球を浴び、快挙を逃した。

 和田

 相手も打たせないよう厳しいコースにきた。当てにきたらあんな球にならない。それも勝負。

 苦笑いで振り返ったが、この日の“大当たり”なら達成は確実と思われた。杉内から2回に左越え三塁打を放つと、4回は右中間へ先制2点適時二塁打。さらに6回は左越えの中押し11号ソロ。そして単打でOKの8回は同点の1死三塁で、9回は同点の2死一、三塁。いずれも決勝打で快挙を彩る舞台が整っていた。

 それが、連続死球の“大当たり”なんて…。結局、和田の死球後に勝ち越し点を奪えず。延長10回、サヨナラで敗れた。

 和田

 僕もアマチュアから30年以上やってやったことがない。それが勝負。

 前夜から悲運続きだ。4日巨人戦は1点差の8回、一塁走者和田が避けようとした打球に当たり、守備妨害を取られた。その無念を一夜で晴らし、2000安打にも36本と迫って、倍返し以上は目前だった。6月29日の阪神戦では本塁打でサイクルの谷に「人生変わるぞ。狙え」と背中を押した優しきベテラン。だが、野球の神様は無情だった。

 和田

 記録じゃなく勝つためにやっている。死球2つで塁に出られた。ただ勝ち切れなかったことが残念。

 悔しがったのは逃した快挙ではなく、巨人に今季全4カード負け越し、3連敗の現実。むしろ喜んだのは2つの死球出塁。この気概があれば必ずトンネルの出口は見える。【松井清員】