これがWBC代表斬りの極意だ。第3回WBCで日本代表だった阪神能見が豪州戦で先発し、圧倒的な投球をみせた。3回を1安打無失点。5者連続を含む6奪三振と、オーストラリア打線を封じ込めた。

 1回2死二塁で元ヤクルトの4番デニングを低めフォークで空を切らせた。「しっかりと腕を振ることだけ(考えた)」。2回以降も変化球を多投して、相手打線を寄せつけず。幻惑した。京セラドーム大阪を沸かせたのは、2回1死から始まった5者連続の奪三振ショーだ。6番ウェルチを追い込むと124キロフォークで見逃し三振。続くオールティンもフォークで空振り三振に切った。3回も決め球にフォークを連発。分かっていても打てない。屈強なオージーたちのいら立ちが、見ている側にも伝わった。

 オーストラリアのディーブル監督も「年を重ねているが、今でもまだまだメジャーで通用する」と大絶賛だ。この日の強化試合はWBC仕様のマウンドで行われた。「粘土質で水を含んでいたせいか、滑りそうでした」。13年の前回大会に出場しているだけに、久しぶりとはいえ未知の感触ではない。直前の実戦で1勝3敗と苦しむ今回の侍戦士にもお手本になる、豪州封じだった。

 「あとはしっかりカウントだったり(を確かめたい)。今度の機会で。しっかり腕を振れている。そのへんを継続したい」。3月31日、広島戦は3年連続となるメッセンジャーの開幕投手が内定している。マツダスタジアムの相性を考慮すれば能見の2戦目(4月1日)の可能性は十分。4年ぶりにかぐWBCの空気でパワーを蓄え、経験豊富なベテラン左腕が着実に調整を進める。【桝井聡】