挑戦者で元王者三浦隆司(33=帝拳)が現王者ミゲル・ベルチェルト(25=メキシコ)に0ー3(111-116、108-119、107-120)の判定で敗れ、王座返り咲きを果たせなかった。

 足を使う王者を終始追いかける展開も、効果的に左ジャブを集められ、狙いとしていた左ボディーも効かせることができなかった。時計回りにステップを踏む相手に、左ストレートも遠く、インパクトを持って打ち抜けたパンチはなかった。

 15年11月に5度目の防衛戦を米ラスベガスで戦ったが、フランシスコ・バルガス(メキシコ)との激闘の末に9回TKO負け。打ち合い、倒しあった試合は米メディアで年間最高試合に上げられはしたが、王座陥落でどん底に突き落とされた。「次負けたら辞める」。その覚悟で再起を決意し、再びベルトを手にするためにリングに帰ってきた。

 米国で失った物を同地で取り戻す。くしくもバルガス戦で本場関係者、ファンの評価は一気に上がり、この日はメインカードに抜てきされるまでになった。それは秋田県の金足農高の時に描いていた夢だった。「米国でビッグマッチをやりたい」。その初心を思い起こさせるように、高校の恩師からは高校のボクシング部のジャージーが送られてきた。当時とはデザインは異なるが、背中の「拳闘道」の文字は同じ。「ここまできたんだな。あの時代から米国にこられて不思議で」。気持ちを高ぶらせて大一番に臨んでいた。

 日本が米国で王者獲得すれば81年の三原正以来36年ぶりの快挙だったが、結果を残すことはできなかった。