大関稀勢の里(30=田子ノ浦)が、横綱白鵬(31=宮城野)を寄り切って2敗を守った。20秒7の激しい攻防の末に手にした勝利。いつまでもやまない大喝采に「ありがたいですね」と感謝し「思い切っていけた」と息をついた。

 左のおっつけで崩し、突き、押しの応酬となった。1度は俵に詰まったが、左足1本でこらえると、右上手を引いて逆襲。「ああなれば、しっかり慌てないこと」と落ち着いて寄り切り、反撃を許さなかった。

 3場所連続で挑んだ綱とりがなくなった今場所。豪栄道の綱とりや、白鵬の通算1000勝に注目が集まった。その前半戦、自らは2敗を喫して、蚊帳の外に置かれかけた。それでも、前日には豪栄道を、そしてこの日は白鵬を退けた。存在は、やはり消えていなかった。

 11日目はただ1人、全勝の横綱鶴竜(31=井筒)との一番に挑む。「自分の相撲を取ることが大事。やるだけ」と決意を込めた。