西前頭筆頭の貴景勝(20=貴乃花)が、豪快な相撲でどよめきを起こした。

 相手は初顔合わせの新関脇御嶽海(24=出羽海)。「身長が低いので、生かすしかない。体が起きると、相手の突きは強いし、差しもうまい。丸く、小さくなっていかないと」。

 低く、頭を下げた体勢からぶつかる。1度は押されかけても体勢を変えない。体が起きかけては再び沈めて、頭から突っ込む。繰り返し、何度も。その圧力が徐々に伝わり、最後は豪快に吹っ飛ばした。

 初日で大関照ノ富士に勝ってから6連敗。「楽して勝とうかと考え込んだりもした」という。だが、行き着いた結論は「自分の相撲を取り切るしかなかった」。愚直に前に出る相撲。貫き続けたからこそ、光が差し込んだ。

 「勝ったことがすごく大きい。1番のクスリになる。上位は独特の空気。仕切りの数も違うし、客の盛り上がりも違う。頭で慣れるより、目が少し慣れてきた。2勝6敗だけど、負け越したり、十両に落ちたりしたわけではない。硬くならず、最後まであきらめずに行きたい」と、20歳の若武者は自分を奮い立たせた。