暴力問題で動向が注目されていた大相撲の横綱日馬富士(33=伊勢ケ浜)が29日、現役を引退した。日本相撲協会に引退届を提出、受理された。同日に福岡・太宰府市内で行われた引退会見が、平幕貴ノ岩(27=貴乃花)への暴力を認めて謝罪した14日以来、半月ぶりの肉声となった。

 場所中は口を閉ざしていた伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)が、暴行問題に関してようやく口を開いた。会見冒頭で謝罪を行いながらも「酒癖悪いとか乱暴するとか、そういったところは私自身見たことも聞いたこともありませんでした。今回、なぜこのようなことになったのか、ただ不思議というか残念でなりません」と不思議がった。貴乃花親方(元横綱)と貴ノ岩が、いまだに口を開いていないだけに、真相を知りたそうだった。

 報道陣からの厳しい質問に、感情を表す場面もあった。これまでの自分の対応について聞かれ「全部筋道通してやってきました」ときっぱり。さらに食い下がる記者に「すぐに謝罪した。電話もした。謝罪に行くと断られたこともあったけど、そういったことはきちんとやった」と語気を強めた。謝罪の気持ちは間違いなくあったが、ぶつけようのない感情がどこか残っていた。