西前頭3枚目の宇良(30=木瀬)が横綱照ノ富士を寄り切り金星を挙げた。

17年名古屋場所9日目の横綱日馬富士戦以来、自身5年ぶり2個目。けがなどで序二段まで番付を下げながら復活という同じ境遇をへてきた照ノ富士とは、5度目の対戦で記念すべき初勝利となった。この日は3大関が全敗。横綱、大関が出場しての総崩れは06年秋場所6日目以来の大波乱。平幕の玉鷲、北勝富士が6連勝とした。

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波乱が続いた土俵の大トリが宇良だった。3大関がバタバタと敗れ、迎えた結びで過去0勝4敗の横綱照ノ富士に挑んだ。

捕まえられたら勝機はない。間合いを計り、互いにお見合いの展開もある中で一瞬の隙を突いて懐に飛び込むと、一気に前に出て寄り切った。「(内容は)分からないです。すみません。力を出し切るだけで。精いっぱい出し切ろうと思いました」。いつもなら淡々と冷静な取組後も興奮を隠せない、珍しい表情を見せた。

「横綱に勝つ」は、どん底からの復活を遂げた宇良の1つの目標だった。金星は17年名古屋場所9日目に日馬富士をとったりで破って以来。涙を流すほどの喜びが苦難の始まりだった。翌10日目に痛めた右膝の影響で、次の秋場所の途中から1年間休場。三段目で復帰も今度は左膝の大けがで休場が続き、序二段106枚目まで番付を下げた。

同じような境遇で大関から序二段まで番付を下げながら奇跡的な復活で、今や横綱を張る照ノ富士は大きな励みだった。地獄のような状況からあきらめずにはい上がる象徴の横綱に初めて勝ち、「良くないのが当たり前なので、うれしいです」と心の底から喜んだ。

横綱、大関が出場しながら全敗は06年秋場所6日目以来、16年ぶりの波乱となった。それを宇良が仕上げた。先場所は7勝8敗と負け越しも、番付は据え置かれた。その幸運もあり、ここまで4勝2敗で、新三役への機運も高まる。場所前も「目標にしたい」と話していた照ノ富士からの金星を現実にし、さらなる高みを目指す。【実藤健一】

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