“笑わない男”ではなかった。大相撲名古屋場所を13勝2敗で制した東前頭15枚目の琴勝峰(25=佐渡ケ嶽)が、千秋楽から一夜明けた28日、名古屋市の部屋で会見。初優勝した千秋楽は、ほとんど笑顔を見せなかったが「酔うと、しゃべるし、笑う」と明かした。19年ラグビーW杯で“笑わない男”としてブレークした稲垣啓太とは一味違うようで、何とか笑顔をつくって写真撮影に応じていた。
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慣れない笑顔は、少しひきつっていた。会見後、琴勝峰は要望に応じ、各社の紙面を持って写真撮影。新聞を持ち替えるたびに「笑顔で!」とカメラマンの声が飛んだ。放っておくと、すぐに真顔に戻ってしまう-。押せ押せで前に出続けた名古屋場所とは一転、この日は押されっぱなしだった。「歯を見せて笑顔で」と要望されると「歯を見せる…」と、困惑していた。
優勝した千秋楽は、土俵上はもちろん、支度部屋でも、ほとんど笑顔を見せなかった。夫人の珠奈(じゅな)さん(25)、1歳9カ月の長男寿冨(ひさと)くんと顔を合わせた時だけ見せた笑顔も控えめ。「優勝という実感が、あんまりなかったのと、15日間取り終えたホッとした気持ちが大きかったので。バタバタと昨日1日は終わった」。兄弟子の大関琴桜が旗手を務めた優勝パレード準備もあり、笑顔を忘れていた。
性格は「皆さんが思っている通り、静かな方」と認めた。それだけに「大笑いすることはありますか?」との質問も出た。琴勝峰は「大笑い…」と、少し悩んでから意外な回答。「酔うと、しゃべるし、笑う。気が大きくなるんですかね」と、恥ずかしそうに照れ笑いを浮かべて明かした。
初金星を獲得した13日目の横綱大の里戦前夜は「ちょっと寝られなかった」という。千秋楽まで優勝を争いながら、当時の大関貴景勝(現湊川親方)との相星決戦に敗れた23年初場所は「すごく緊張して雰囲気にのみ込まれてしまった」とも告白。ポーカーフェースの裏では人間味にあふれていた。色紙に書いた目標は「三役」。喜怒哀楽こそ伝わりにくいが、一目瞭然の強さを見せ、番付を駆け上がる決意だ。【高田文太】
○…琴勝峰は、SNSなどで“リアル亀仙人”と話題の父への感謝も口にした。父手計(てばかり)学さん(60)は、千葉・柏市で居酒屋「達磨(だるま)」を経営しながら現役ボディービルダーで、筋トレ系YouTubeチャンネル「亀仙人(かめせんと)」を運営。風貌は人気漫画「ドラゴンボール」に登場する主人公孫悟空の師匠、亀仙人(かめせんにん)にそっくりで、注目度が急上昇していた。そんな父に対し琴勝峰は「ここまで体が大きくなったのは、父の子育て方針。睡眠時間、食事内容も考えて育ててくれた。感謝しかない」と語った。「達磨」のメニューでは「なめろうが好き」と、アジやカンパチなどを使った渋い魚料理への愛情も口にした。

