映画な生活

動きにキレ岡田准一 伝説の殺し屋に異例ミッション

V6岡田准一(38)の演技への向き合い方にはいつも感心させられる。

(C)2019「ザ・ファブル」製作委員会
(C)2019「ザ・ファブル」製作委員会

4年前のインタビューでは08年のドラマシリーズで始まった「SP」への心構えを振り返ってくれた。

「20代は(アイドルの)イメージもあるし、役柄はその枠内で考えなければいけなかったけど、30歳も近くなり、体もしっかり作ってアクションをやりたかった。知り合いの作家さん(金城一紀氏)と話しながら、どうやったら世間に受け入れられるだろうか、いろいろ考えましたね」

「白い巨塔」(テレビ朝日系)のシリアスな演技も良かったが、この人のアクションへの思いはまた特別である。今ではカリ、ジークンドー、USA修斗とさまざまな格闘技でインストラクターの資格を持つまでになっている。新作「ザ・ファブル」(6月21日公開)は、そんな岡田ならではのキレのいい動きが満載。「木更津キャッツアイ」(02年)以来のとぼけた味わいも相まって、まさにはまり役だ。

岡田ふんするアキラは伝説の殺し屋。どんな相手も6秒以内に殺し、罪悪感もない。裏稼業で彼を使いこなすボス(佐藤浩市)は育ての親でもある。機械のように感情を表に出さないアキラが心配になり、異例のミッションを与える。

「1年間、一般人として普通に暮らせ、休業中に誰かを殺したら、俺がお前を殺す」。普通ではない男が「普通」とは何かを考え、目指す珍妙なトライアル。岡田の大ボケ小ボケが笑いを誘う。

相棒のヨウコ(木村文乃)と兄妹のふれこみで大阪の街にやってきたアキラだが、受け入れ先はボスつながりの怪しい会社。社長の海老原(安田顕)がアキラを裏稼業に利用しようとしたり、伝説の男を倒そうと売り出し中の殺し屋(福士蒼汰)が出没したり…アキラの周囲は平穏というわけにはいかない。

果たしてボスのミッションは完遂できるのか。物語はめまぐるしく展開する。

CM演出で知られる江口カン監督が画面にデジタル表示をするりと載せてアキラの高スキルを示しながら原作コミック(南勝久)の味わいを引き立てる。向井理、柳楽優弥、佐藤二郎と個性派ぞろいが脇を固め、原作をほうふつとさせるとんがり比べが楽しい。

そんな喧噪(けんそう)の中でも岡田のシャープな動きは光る。ビルの隙間を両壁に手足をつきながらスルスルと昇るシーンには息をのんだ。動きは水面を移動するアメンボのように滑らかだ。一方で、イラストに「へたうま」の才能を見せたり、インコを頭に乗せたりの緩いシーンとのギャップも見どころだ。目力スイッチの切り替えが分かりやすく、岡田ならではの律義な演技で楽しませてくれる。

「人情」に触れるきっかけとなるもう1人のヒロインに山本美月。アキラが憧れる「すべり芸人」に宮川大輔、そして主題歌はレディー・ガガの「ボーン・ディス・ウェイ」と随所に大技小技が効いている。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)

映画のない生活なんて、考えられない。映画は人生を豊かにする--。洋画、邦画とわず、三十数年にわたって映画と制作現場を見つめてきた相原斎記者が、銀幕とそこに関わる人々の魅力を散りばめたコラムです。

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