東宝の「キングコング対ゴジラ」を見たのは1962年(昭37)、小学1年の夏休み。初めての怪獣映画だった。
プロレスの力道山とルー・テーズの対決はこの4年前だから、もちろん記憶はないのだが、怪獣の日米決戦はこの世紀の両雄対決にちなんで企画されたのだそうだ。そんな背景や筋立ての工夫が6歳児に分かるはずも無く、最後の対決で両者が海中に落下、キングコングが沖合に泳いでいくシーンだけを鮮明に覚えている。沈んだままのゴジラが負けたのか、それとも負けたコングが逃げていったのか、そんなことばかり考えていた。
あれから59年。ハリウッド版「ゴジラVSコング」が7月2日に公開される。モンスター・ヴァース・シリーズの「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」(19年)の続編という設定で、前作の壊滅的な状況から、人類がようやく立ち直りかけた近未来のいつかが舞台になっている。
鳴りをひそめていたゴジラがハイテク企業エイペックスの施設に突然襲いかかるところから物語は急ピッチで進行する。「-モンスターズ」では人類の味方だったはずのゴジラがなぜ? シリーズおなじみの対怪獣特務機関モナークは、巨大な施設で管理しているコングによる対抗措置を模索する。
一方で、巨大企業エイペックスの陰謀がしだいに明らかになり、ゴジラの復活やコングの深い怒りの背景が浮かび上がる。
前作まで出演した故芹沢猪四郎博士(渡辺謙)の息子で、エイペックス研究員の蓮を演じた小栗旬は「映画は映画…大きな違いはないと高をくくっていたのですが、セットのスケール、スタッフの人数、潤沢な撮影時間など、メジャーリーグのパワーに圧倒される思いでした」と明かしている。
小栗のコメント通り、怪獣たちの「故郷」の描写や、香港の街を破壊し尽くす最終決戦など、ビジュアルにはこれでもか、というスケールと迫力がある。
小栗ふんする蓮研究員の謎めかし方やエイペックスの陰謀を暴くオタク青年たちのキャラも立っていてドラマ部分も飽きさせない。
アダム・ウィンガード監督やスタッフの怪獣映画愛も半端ない。随所にかつての東宝作品へのオマージュがあり、往年の日本オリジナルにあった「怪獣の物悲しさ」もしっかり踏襲している。コングと心を通わせる少女ジア(カイリー・ホットル)には、米版旧作「コング」に登場する肉感的な美女よりも、「モスラ」のザ・ピーナッツに近い雰囲気がある。
「キングコング対-」とはまったく違った結末となるが、往年の怪獣映画のツボをしっかり押さえた上に、これぞハリウッドの物量投下が加わり、文句なく楽しめる1本だ。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)




