古田新太(55)と阿部サダヲ(50)、小劇場出身の最強コンビの共演舞台が面白くないわけがない。

上演中の劇団☆新感線の新シリーズとなる舞台「月影花之丞大逆転」。新感線の公演と言えば、出演者が40~50人と多く、派手な立ち回りを何度も見せるのが定番だけれど、今回は古田、阿部に木野花、ジャニーズの浜中文一、元乃木坂46の西野七瀬をはじめ出演者は少数精鋭の11人。上演時間もいつもは3時間超えが当たり前なのに、休憩なしの2時間と、コロナ禍仕様の舞台だった。

それで、スカスカの舞台だったかというと、国民的名作アニメや人気CMなどのパロディーネタが満載で、古田や阿部は舞台上で生着替えもみせ、1人が何役も演じるなど、密度の濃い凝縮した舞台になっていた。

舞台となるのは「月影花之丞一座」の稽古場。木野が演じる座長の月影花之丞自体、人気漫画「ガラスの仮面」の伝説の女優月影千草のパロディーで、「すべての道は舞台に通じる」と叫ぶ、73歳の木野のはじけっぷりが楽しい。古田演じるベテラン俳優の塾頭剛太郎が国際的な殺し屋という情報に、浜中演じるインターポール捜査官が劇団に潜入。そこに大口の保険契約を目的に劇団に入った保険外交員の東影郎(阿部)や訳ありの元トップ女優役の西野が絡んで、荒唐無稽の話が次々と展開していく。

出演者が少ない分、古田と阿部が話題の人気アニメ映画のパロディーなどでがっつりと絡む場面が多く、50代の2人が献身的に動き回っている。浜中もかわいい意外な姿になったり、西野もアイドルの片りん全開のパフォーマンスもあり、この種の舞台では珍しい、客席でペンライトが打ち振られるシーンが何回もあった。

昭和生まれの中島かずき作、いのうえひでのり演出の舞台は、昭和のさまざまな名作のオマージュが笑いの粉をたっぷりかけてちりばめられ、前期高齢者の私も久しぶりに声を上げて笑ってしまうほど。古田の「バカバカしいことほど全力投球で」という言葉通り、コロナ禍でさまざまな制約がある中で、舞台ができる喜びにあふれた演劇愛が詰まった舞台だった。

いつもはチケット入手困難な公演だけれど、緊急事態宣言の解除で、24日からは1階席の収容率が50%から100%に引き上げられるため、追加席の発売も始まるという。狙い目かもしれません。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)