シングルマザーと2人の娘が台湾・台北の夜市で、生活を立て直そうと麺屋台を始める。母に反抗的な上の娘は、幼稚園にバイクで送り迎えするなど5歳の妹には優しく、ようやく生活が落ち着きだした。その中、多額の借金を残して失踪した元夫の入院の知らせを受け、母が見舞いに行こうとしたことに、上の娘が激怒。下の娘も母方の祖父から「使うな、悪魔の手だ!」と左利きを叱責(しっせき)され、罪悪感を抱くうちに夜市で万引きを働くようになる。さらに、上の娘が勤め先の店長の子を妊娠したことが発覚と、次々と問題が起きる。

夜市の店で万引きをしては、狭い通路を分け入って逃げていくシーンをはじめ、5歳の娘の目線で描く映像には臨場感がある。実在する通化街夜市で行われた撮影は、iPhoneで行っている。今作で単独監督デビューを果たした台湾出身のツォウ・シーチン監督は、米アカデミー賞で作品賞、監督賞など主要5部門を制した「ANORA アノーラ」(24年)のショーン・ベイカー監督のプロデューサーを務めてきた。「テイクアウト」(04年)で共同監督デビューし、「タンジェリン」(15年)ではiPhoneでの撮影を勧めただけに、機能、機動力を熟知した上で、夜市の撮影に使ったのだろう。

5歳のイージンを演じた台湾の人気子役ニーナ・イエが、とにかくかわいい。踊るシーンを見るだけで心が和むこと間違いなしだ。【村上幸将】

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