この春、何組かの漫才コンビが大阪から東京へと旅立つ。NSC(吉本総合芸能学院)を出て、オーディションを勝ち抜いた彼らはよしもと漫才劇場(大阪・千日前)に所属。多数いる若手芸人とともに切磋琢磨(せっさたくま)し、舞台で競い合った。そして機は熟し、東京へ。
そんな大阪卒業組のひとつ、セルライトスパ(肥後裕之=40、大須賀健剛=41)の最後の単独ライブ(3月22日)を見てきた。会場の漫才劇場(マンゲキ)は立ち見客も出る盛況。オープニングでは、学生服に身を包んだ肥後と大須賀が客席後方の扉から入場し、観客の中を歩いて舞台に向かった。どちらかといえば、アイドル的な人気は乏しいセルスパだが(失礼!)、女性ファンの歓声が飛び交う華やかな一瞬でもあった。
ラストライブらしく、主人公2人をマイスイートメモリーズとオーサカクレオパトラが在校生として送り出す卒業式のコントから始まった。
セルライトスパは、特にコントが楽しいコンビ。ひょうひょうとした肥後、コワモテ風のルックスで笑いを引き出す大須賀のコントには、この夜もおおいに笑わされた。マイスイートメモリーズの福田、オーサカクレオパトラのかつのぶさんは肥後、大須賀と同期芸人。マイスイートメモリーズとオーサカクレオパトラが、セルスパの漫才ネタをカバーする趣向もよかった。
アッという間の60分。ファンも満足だったに違いない。
ここで伝えたいのは、漫才劇場の底力、層の厚さである。セルライトスパの公演後、同じ舞台で天才ピアニスト(竹内知咲、ますみ)の単独ライブが行われた。こちらも満席、立ち見客も出る大盛況。実力、人気的には東京に出て行っても全然おかしくないコンビだが、こちらはしばらく大阪で活動を続けるようだ。
たくろう、ダブルヒガシ、カベポスター、ツートライブらが東京へと移る今後、天才ピアニストは豪快キャプテン、フースーヤらとともに漫才劇場の主力としてさらにフル回転するだろう。
人気者が東京に行っても、マンゲキには、まだまだおもしろいメンバーが残っている。
この日、午後7時30分開演のセルライトスパ、午後9時開演の天才ピアニストと、2件の単独ライブをはしごした。実は同じ日、芸歴4年の若手・ミステリーハンター(上木、芝)の初単独ライブがその前に行われていた。
セルスパの開演時間に合わせてマンゲキに行くと、ライブが終わってロビーに出てきたミステリーハンターのファンが大勢いた。「こんなにたくさんの客を呼べるほどの人気者なのか!」と正直驚いた。終演後は、希望者のために写真を撮ったり、握手するファンサービス。長い長い行列ができていた。
毎年のように、漫才劇場から東京へと旅立つ芸人がいる。特に今春はエース級のメンバーがごっそり抜ける。それでも、その後を継ぐべき若手がすくすく育っている。マンゲキの強さをあらためて知らされた。【三宅敏】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミへキタへ~」)




