剛力彩芽(31)が2年ぶりに連続ドラマの場に戻ってきた。民放BS初出演となる「夫婦の秘密」(BS-TBS、木曜午後11時)などの女優業に加え、2020年に個人事務所「ショートカット」を設立し、社長業にもまい進している。芸能生活は今年で22年目を迎え、30代のテーマも語った。【加藤理沙】

★結婚願望あります

「小中学生の時、友達がいなくて黒歴史だった」。登場人物全員が裏の顔を持つ欺瞞(ぎまん)に満ちた“愛憎・闇落ち”ミステリー「夫婦の-」にちなみ、剛力自身の“闇落ち”を聞くと、そう答えて笑った。

小学生の時は「母親から離れたくなかった」性格だった。中学生の時は事務所に所属し「かわいい子」がいると校内で話題になった。ただ…。「全校生徒の前で何かを発表したら『剛力彩芽、声低くてショック』と男子生徒の中で話題になって。友達がいなくて人としゃべらなかったので、初めて私の声を聞いたと思うんです。そこからちょっとだけ、声を高くする訓練をしました」と振り返った。

ただ、10歳で芸能界に入った後は、瞬く間に原石が輝いた。6クール連続で民放連ドラ出演の多忙な時期もあった。今回、2年ぶりのドラマの撮影現場には新鮮さがあったという。

「出演は素直にうれしかったんですが、連ドラの過密スケジュールに私は戻れるのだろうか? と不安はあったんです。でもいざ、クランクインすると体は覚えていて、感覚を取り戻すのも早かったです。この撮影テンポも久しぶりなので、新たな気持ちで出来た気がします」

全10話を1カ月半で撮影。主演臼田あさ美(39)とドラマ初共演だったが「臼田さんのおかげでみんながキュッと、距離が縮まるのは早かった」と振り返る。

「飾らずに自然体で、たまにテンパってしまう焦り方もかわいい。私も自然と甘えちゃうし、気付くとため口で話せちゃうところもあって。若い共演者の方を見ても、私も芝居やせりふの覚え方を改めてやらないと、という気持ちにもなりました。良い意味でも悪い意味でも慣れていたことで刺激を受けました」

ドラマの見どころは「夫婦の秘密と言われると、不倫とかドロドロした感じをイメージすると思うけど、そうではない今までと違うミステリー。人間味があって否定しきれない、現実離れしていないところを見て欲しい」とアピールする。

自身の夫婦の理想像は「何でも話せる関係」だという。「母親との関係性がその日のことを全部しゃべるタイプなので、パートナーともそういたい。聞いてなくても、話をさせてくれたらいい(笑い)。結婚願望もあります。飾らない、何でも話せる人がいいです」。

★興味あるSDGs

オスカープロモーションを経て2020年9月から個人事務所で活動。作品出演を続けながら社長業を担ってきた。出演を決定する基準は「基本的に断らないことがベースにある」と明かし、オスカーへの感謝も忘れない。

「作品によってはタイミングを考えます。今やる意味を考えるのも難しい。今まで事務所にいてありがたかったなと。やっぱり、自分のことが一番客観的に見られなくて、わからないので…本当にこの選択が良かったのか不安になることもあります」

一方で、独立して良かったこともある。新たな挑戦が増えたことだ。

「独立の1年後、ミュージカルでプロレスラー役のオーディションに挑戦したことは大きかったです。今までは自分の手元に届く前に断られていた仕事もあったと思う。自分にどんな仕事依頼が来るのか、どんな流れで来るのか、今の私は周りにどう見えているのかを感じられる。それは緊張感もあって楽しいです。友達同士での『それ、やってみよう』もかないやすくなりました」

社長業も今年で5年目。

「私1人なんですけど、社長ってなんだろうと考えます。一番興味があるのはSDGsです。女優の枠から外れてわかりやすく楽しい発信をしたい。作品のプロデュースもやりたい。例えば、友達のモデルさんやスタイリスト、ヘアメーク、カメラマンを集めて写真集を作ってみたり。何かを作ったり、個人として発信をしていきたいです」

★剛力彩芽の言葉で

活躍の裏にはいつも母の支えがあるという。独立後も「完全なるボランティア」で手を貸してくれていると明かした。

「社長業は私ひとりなので。お金の管理も任せています。契約書などは全部私が目を通しますが、本当に数字だけは苦手なので…年の瀬は年末調整、確定申告。母から『領収書ちゃんと集めて』と言われます(笑い)」

「一番大きい存在」という母からは過去に「彩芽、最近調子に乗ってない?」とくぎを刺されたことも懐かしんだ。

「昔はどんなに皆さんに名前を知っていただいても、調子に乗ると『家に入れないから』と言われてました。初心に戻る、昔思った気持ちを忘れないことが大事だと。最近、昔出会ったスタッフさんや10代の頃に共演した方に再会することが多くて、今もあらためて思います」

15歳で雑誌「Seventeen」の専属モデルとして活動したころも、怖かった言葉は、母の「私にも考えがある」だった。

「(事務所)社長に電話される、すぐ辞めさせるの意味で、一番怖い言葉でした。小中学生はお金を稼ぐ必要のない年齢。それでも、私がやりたくて仕事をしているから、やるならちゃんとしなさいと。それから、『家でできないことは外でもできない』と両親に言われました。ある程度、家で身に付けさせてもらったことは忘れないと思います」

30代に突入。今後のテーマを聞くと「余裕ある女性を目指したい」と語った。

「新しいことも、今までやったことあることも改めて挑戦したい。登場人物の言葉を借りて発信することも多かったけど、少しずつ剛力彩芽としての言葉を発信できるようにしたい」

それでも「まだ時間の無駄遣いは多い。夜中に漫画読んじゃったり」と周囲を笑わせる。

「早起きして、朝ご飯は優雅に。気付いたらティータイムなんかしちゃって。そういう余裕のある人間に。30代のうちに身に付けたいですね。今が一番若いので、始めるに越したことはないので頑張ります」

▼「夫婦の秘密」主演の臼田あさ美

実は、剛力さんとは、10年以上前にコント番組でご一緒して以来でした。その時、私の誕生日が近くて、手作りのルームスプレーをプレゼントしてくれたのを、よく覚えています。そして今回、クランクインが私の誕生月だったんですが、インしてすぐに剛力さんが「ちょっと遅くなっちゃったけど…」とルームウエアをプレゼントしてくれました。昔と何ら変わらず、思いやりがあって、誰に対しても分け隔てなく、温かい人だな、と思ってます。現場を明るくしてくれて、ありがとう。

◆剛力彩芽(ごうりき・あやめ)

1992年(平4)8月27日、神奈川県生まれ。07年テレビ東京系ドラマ「チョコミミ」で女優デビュー。08年から雑誌「Seventeen」専属モデル。11年フジテレビ系ドラマ「大切なことはすべて君が教えてくれた」映画「お就活 熟春! 人生、百年時代の過ごし方」「女子大小路の名探偵」など出演。20年から個人事務所ショートカットで活動。24年2月からは舞台「メイジ・ザ・キャッツアイ」でトリプル主演を務める。162センチ。血液型O。

◆夫婦の秘密

花屋を営む夫婦、カフェを営む女性店主とそれを取り巻く人達のダークサイドを描いた、登場人物全員が裏の顔を持つ愛憎・闇落ちミステリー。昨年、好評を博した同局系「サワコ~それは果てなき復讐」の武井彩氏、蓼内健太氏がオリジナル脚本を手がけた。