年内での芸能界引退を発表している歌手奥村チヨ(71)が4日、都内で「奥村チヨ卒業アルバム ありがとう~サイレントムーン」の発売を記念したトークイベントとサイン会を行った。奥村がファンと直接交流するイベントは、これが最後となる。

 ドリンク剤「リキホルモ」の歌声がレコード会社の目に留まり、デビューした奥村。当時を振り返り「歌うのが好きだけど、人の後ろに隠れているおとなしい子だった。周りの熱い情熱に負けて東京へ来たけど、1年やって帰ろうと思っていた」と明かした。

 1969年に発売された「恋の奴隷」は、男性に従属的な女性を歌った歌詞が話題になった。奥村は「斬新すぎて、当時はつらかった」と苦笑し、「きれいな歌を歌いたいと思っていたのに、『悪い時はぶって』なんてね」。同曲でNHK紅白歌合戦への出場オファーもあったという。「『ぶってね』を『言ってね』に替えればOKだった。でもプロデューサーに『歌詞を替えてまで出る必要ない』と言われて、単純だから『そうね』なんて言っちゃって」と当時の思い出を笑い飛ばした。

 この日のイベントでは、奥村のヒット曲「終着駅」と最新アルバムから「サイレントムーン」の2曲がサプライズで披露され、ファンを喜ばせた。

 奥村は、会場を訪れた旧知のファンに声を掛けつつ、手を合わせるなどして再会を喜んだ。ファンと顔を合わせるイベント出演は最後となるが、今後はテレビ出演が控えている。最後に、「今日はファンの人から元気いっぱいもらっちゃったから、テレビでも頑張って歌わなくっちゃ」と笑顔を見せた。