オウム真理教の松本智津夫死刑囚ら7人の刑が、6日に執行されました。

 オウム取材を振り返ると、信者の美少女2人のことを思い出します。

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 99年の夏。東京・足立区のオウム道場へ取材に行くと、10代の少女2人が建物の前にいました。平日なのに学校には行っていない。声をかけて、会話をしていく中で、「オウムが犯したとされる一連の犯罪についてどう思うか」と聞いてみました。

 その返事は、クスクス笑いと一緒に「皆さんも、うそを書かないといけないから大変ですね」という言葉。「どうして報道がうそだと思うの」と重ねて聞くと、「(オウム信者の)みんなが、そう言っているから」。小さな子どもが「だって、パパやママがそう言っているから」と話すのと同じような、すごく素直な口ぶりです。

 当時のオウムは一連の事件について、無実を訴えていました。

 その時に考えたのは、後になって「犯罪を犯したのは事実でした」と認めたら、この少女たちはどう思うのだろうか。オウム側にだまされたと思うのか。あるいは「対外的には認めるけれど、実は何もしていないんだ」というように言い含められて、それを信じ続けるのだろうか、ということでした。

 “仕事でうそを書かないといけないかわいそうなオジサン”に向けて、哀れみ交じりの優しいまなざしを向けた少女が今、どうしているのか。オウム取材を振り返ると、今は30代になっているであろう2人のことがいつも思い出されます。