映画公開日の舞台あいさつを取材していると、週を置かずに同じ顔を見かけることがあって、いやでもその人の過密スケジュールを想像する。

 作品によって幅はあるが、撮影期間は1~3カ月だから、ダブっている時期は確実にある。これにドラマ出演などが重なると、並行して演じる役の切り替えはさぞかしたいへんだと思う。

 昨年は菅田将暉(25)が典型だった。1月から11月までの公開作は5本。メジャー作品から、監督の思い入れの強いアート色の濃い作品まで幅広いのも特徴だった。

 今年は東出昌大(30)である。先日、石井岳龍監督の怪作「パンク侍、斬られて候」のあいさつで、先輩俳優たちの熱気に押されて照れ笑いを浮かべていたかと思えば、翌週は瀬々敬久監督のエネルギーあふれる作品「菊とギロチン」で、若手俳優を前にシコを踏む観客サービスで喝采を浴びた。

 資料を見ると、6月公開の「OVER DRIVE」から11月の公開予定作まで主な出演作は昨年の菅田と同じ5本。内容の幅広さも同様で、何事にもチャレンジングな心構えが見えてくる。

 昨年、5時間の長尺「あゝ、荒野」(岸善幸監督)の熱演が評価され、菅田が映画各賞に輝いたのは記憶に新しいところだ。

 東出の場合は、「寄生獣」(14年)や「パンク侍-」のKYを極めた殿様など、「怪演」の領域でも力を発揮し、「助演賞」で評価されることが多かった。今年の活躍を見ていると、各賞の真ん中に来る日はそう遠くなさそうだ。