光石研(57)がテレビ東京系ドラマ「デザイナー 渋井直人の休日」(17日スタート、木曜深夜1時)で連続ドラマに単独初主演する。このほど日刊スポーツの取材に応じ、主演作に臨む心境を語った。

俳優生活40年にして初の連ドラ単独主演。「ひしひしと責任を感じる」と話すが、柔和な口調に気負いは見えない。「もちろん話をいただくのはうれしいですけど、それが欲しいがために何かをやったこともないですし、願望的なものも割と薄いんじゃないかな」。

野心のなさは昔からのようだ。友人に誘われるままに参加した映画「博多っ子純情」のオーディションに16歳で合格。映画に「何の興味もなかった」と振り返るが、「現場のスタッフと何かを作るっていう面白みをそこで教えていただき、映画の現場に行きたいなって」。一方で俳優にこだわりがあったわけではない。「俳優でデビューしたから、俳優さんが楽かなってなもので。ほかの部署は縦社会があって、みんな怒られてましたから。俳優だと怒られない」と笑った。

本格的なアルバイトの経験もないまま、若くして芸能界に飛び込んだ。ここまで続けてこられた理由を聞くと、「ほかに仕事もしたことがないので、(俳優を)辞めて何かになるっていうのが想像できないんですよね」。1人っ子として育ち、子ども時代を「内弁慶で外づらがいい」と振り返る。「外づらがいい分、演じるんですよね、1人っ子って。そんなところも俳優に向いてるんじゃないですかねえ」。

ドラマでは本の装丁やCDジャケットを手掛けるデザイナー、渋井直人を演じる。おしゃれを絵に描いたような生活の裏で、恋のチャンスに踊らされる中年男の日常をユーモラスに描く。渋谷直角氏の原作コミックを読み「何やら僕ら世代のおじさんにとっての自虐ネタのようで、それが痛快だったですね」。

自身も家具好きとして知られる。自宅をメディアで紹介したこともあり、「光石研」で検索すれば「おしゃれ」が候補ワードに上がる。役柄を体現しているようにも見えるが、聞くと「そんなでもないのに、なんかくすぐったいです。でも言い返すのもアレだから」と居心地悪そうに苦笑した。「だから『渋井』のおかげで僕自身の自虐になるってうれしみがあるんです。全てのことが笑いに変換できる気がする。僕のことでどうぞ笑って下さいってことだから(笑い)」。

世間の印象を逆手に、この役を楽しむつもりだ。

 

◆光石研(みついし・けん)1961年(昭36)9月26日、福岡・北九州市生まれ。78年映画「博多っ子純情」のオーディションに合格し、デビュー。以降、映画、ドラマに多数出演。映画は11年「あぜ道のダンディ」に主演、17年「アウトレイジ 最終章」に出演。ドラマは17、18年放送のテレビ東京系「バイプレイヤーズ」シリーズに遠藤憲一、大杉漣さんらと主演した。173センチ、血液型A。