イケメン仲間と、こちらが勝手に思っている、俳優小野健斗(29)をインタビューした。26日から東京・池袋のサンシャイン劇場で上演される舞台「MOTHERS AND SONS~母と息子~」(8月4日まで)に出演するという。どこから見ても完璧なルックスの小野が、ゲイ役を演じる。

世田谷にある稽古場まで行って、話を聞いたのだが、思いもよらぬ出会いあった。貧乏暇なしを地でいくように、事前にメールで送られていた資料にじっくり目を通すこともなく、出たとこ勝負の取材。

その現場にいたのが、三ツ矢雄二(64)だ。三ツ矢と言えば、世に広く知られているのはアニメ「タッチ」の主役・上杉達也の声だろうが、記者にとっては、なんといっても「てん・ぱい・ぽん・ちん体操」の歌い手だ。

テレビ朝日が、今のように視聴率3冠王争いをするようになる、はるか昔。今から30年以上前、深夜のバラエティー番組で「グッドモーニング」という番組があった。現在、早朝に放送している同局の帯の情報番組「グッド!モーニング」(月~金曜午前4時55分)とは、似ても似つかない内容だった。

84年4月から86年9月まで2年半、月曜の深夜に放送された。お色気とお笑いが山盛りで南麻衣子、小川菜摘、深野晴美の、その名もオナッターズが「恋のバッキン」という曲を ♪バッキン! バッキン! バッキン! とコミカルに色っぽく歌っていた。

そして、水島優子の踊る「てん・ぱい・ぽん・ちん体操」。エアロビの衣装風のピッタピタのウエアを着た水島が ♪てんでおつむをてん・てん・てん ぱいでお胸をぱい・ぱい・ぱい ぽんでおなかをぽん・ぽん・ぽん ちんでお股をちん・ちん・ちん と踊っていた。パソコンをスマホもない時代。テレビも、まだ1家に1台という時代だった…はず。結構、当時の若者、いわゆるナウなヤング、つまり記者の世代には人気のあった番組だ。

その「てん・ぱい・ぽん・ちん体操」を明るい声で、コミカルに歌っていたのが三ツ矢だった。ちなみに、三ツ矢が声優として上杉達也の声を演じていたアニメ「タッチ」がフジテレビで放送されていたのが、85年3月から87年3月だから、1年半もかぶっている(笑い)。青春アニメの金字塔と深夜のおバカお色気番組。この芸風の幅広さを愛さずにいられようか(笑い)。

三ツ矢はプロデュサー兼演出家として、そこにいた。思わず「てん・ぱい・ぽん・ちん体操」と口にしたら、平成元年生まれの小野には不思議な顔をされるは、旧知の小野の事務所社長には「また、わけの分からないことを…」という顔をされてしまった。

「違うんだ、三ツ矢雄二の本当の価値は『タッチ』なんかじゃない『てん・ぱい・ぽん・ちん体操』なんだ!」と絶叫したかったのだが、時間がなかったので、小野のインタビューを優先させた。そして、帰りがけに三ツ矢にあいさつさせてもらって「ずっとファンです」と握手してもらった。

無名の新人がスターになっていくのは楽しい。そして、昔から好きだった芸能人に思いがけず会えることもある。抜いたり、抜かれたり、抜かれたり、抜かれたりとつらいことも多い芸能記者家業だが、悪いことばかりじゃないと思った。