19年11月に宝塚歌劇団を退団した前花組トップ明日海りお(35)が、藤原竜也主演のフジ系連続ドラマ「青のSP-学校内警察・嶋田隆平-」(火曜午後9時)で、退団後初の連続ドラマレギュラーに臨んでいる。制作のカンテレ(大阪市)がオンラインで取材会を開き、明日海が取材に応じた。

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学校内警察が試験的に導入された中学校が舞台。藤原ふんする嶋田隆平が「スクールポリス」として、さまざまな問題に立ち向かう。明日海は、嶋田が配属された中学校の音楽教師・小川香里役。1月19日放送の第2話で、死亡記事となって“初登場”した。

明日海 (放送後に)けっこう(宝塚の)後輩も、先輩も、連絡がきたんですが、やはり「涙マーク」が多かった。みな、質問攻めで「けがのシーン、大丈夫でしたか?」とか。でも「生きてるシーンもあるから」と言っておきました。

嶋田が、小川の秘密を探っていく展開で、26日放送の第3話では、ピアノ演奏も披露した。

明日海 この収録が(退団後)ドラマ現場初体験でした。(収録は)どう行われるのか-ドギマギしながら向かったのですが、「はい、出番」と言われて放り込まれて。ピアノも間違ってはいけないので、手が震えながら(収録)。藤原竜也さんが横で立って聴いているシーンで、緊張感を感じ取って、優しく声をかけてくださいました。

ドラマ収録現場では自身の背後、斜め横、引き気味にも複数のカメラがある。

明日海 どこから見られているか分からない。相手の距離感、声のボリュームとか…新鮮でした。

役柄は同世代の設定で、独身。親近感もあった。

明日海 放送は見ました…。今、これをいろんな方が見ているかと思うと、何か信じられない。「あ、私の顔のアップ、こう映るのね」とか、こうすればよかった、とか。反省も。ドラマを楽しんでいても、自分の場面はドキドキします。

宝塚時代は、最大収容が2500人を超える宝塚大劇場で主演を張ってきた。

明日海 (テレビは)表情筋が大きく動いちゃうんですよね。それに、本当に女性の先生に見えてるのかな-とも不安で。

男役としては小柄で、美形ゆえに「フェアリー系」になりがちだった。ゆえに、誰よりも男らしさを求めてきただけに、精神的には180度の方向転換。

明日海 (衣装が)カーディガンにひざ丈のスカート。一番、今までになじみがない感じで、収録中は「私は香里、私は香里」と思いながら演じていました。

ドラマの舞台は学校。宝塚音楽学校時代の音楽教師も思い出したという。

明日海 紫苑(ゆう)さんとか、ご自身も生徒を経験された方もいて、かっこいいなと思った印象が残っていますね。

今作、藤原竜也を見て、主演の重みも実感する。

明日海 現場の雰囲気を心配して、私たちをほぐそうとしてくれて、演劇の世界なら座長のような…。私にも「どんな生活?」「好きな食べ物は?」とか聞いてくれて。タカラジェンヌだから-と思ってらっしゃったと思いますが、答えは「意外と普通だな」って。もっとおもしろいこと、言えばよかった! チームワークは(舞台もドラマも)一緒だと思いました。

舞台とは違い、順番通りに収録は進まない。

明日海 まだ頭の切り替えが分からないので、集中力がすごくいります。舞台であれば、前後の場面の空気感がありますが、ドラマはそのシーンだけを撮っていく。臨機応変にアレンジする力が必要。最近は、瞬時に集中できるよう頑張って学んでいます。

自身が「緊張する」ことにも驚いた。

明日海 私って、こんなに緊張するんだ-と。今まで(在団中)は、大勢とやっていて、皆が緊張している空気をなだめる役割だと思っていて。(ドラマ現場で)小さい頃の発表会とか、初舞台、新人公演のころを思い出しました。

NHK連続テレビ小説「おちょやん」にも2月から登場する。女優としての再出発も順調に進みだした。

明日海 遠い、遠い夢ですけど、誰かに「この役者さんいいな」と思ってもらえたら。役によって印象がすごく変わる方にあこがれます。でも、まずは! 「女性に見える」「カメラにきちんと映る」ことを習得しつつ、お芝居を進化させていけたらいいなと思います。【取材・構成=村上久美子】