―最近、特に若者を中心に「マッチングアプリ」というオンラインサービスが流行しているのご存じですか
お見合いってことでしょ?
―男女がいろんなデータを登録してマッチングしていくネット上の出会いの場です。アプリを使って出会いを求める男女が多いんですけど、いざ会った後、なかなかうまくいかず、これを続けても理想の出会いにたどりつけるのだろうかと不安になる人もいるそうです。舘さんは若い頃から、どうやって女性と出会い、口説いていたのですか?
それは遊び場に行けば女の子いるじゃない。
―躊躇(ちゅうちょ)はなかったんですか?
躊躇はありましたよ。僕は緊張するしさ、恥ずかしがり屋だしさ。でも何となくそういう風になる。でも、マッチングアプリっていいじゃない。
―恥ずかしさを解消してくれるからいいのでしょうか
恥ずかしいの?(出会いの)きっかけなんてどうだっていいんだもん。僕はやらないと思うけど、それがきっかけになって、だからってふられるのは、ずっとふられるんだろうね。しょうがないじゃん。だって、うまくやったってふられる時はふられるんだから。いくら時間をかけて出会ったとしても、ふられるときはふられる。そうでしょ?だから(マッチングアプリという)ツールというか、それはそれで、いいんじゃないの?マッチングアプリやってみようかな、俺も(笑い)
―さすがです(笑い)
ただ、マッチングすることがいいかはどうかは、別問題だからね?2人のデータが合うってことが果たしていいものかどうか。実はデータが合わないほうが、恋としては、すごく燃えるかもしれないじゃない。だからそこがよく分からないって言うか。マッチングアプリで性格が合えば、すてきな恋ができるかっていったら、それは別問題だからね
―妙な含蓄があります…。
恋ってそういうものではないじゃない。データが合えばいいってもんじゃないから。合わないところを、もがいていくところが楽しい(笑い)
―なるほど!
(データ上で相性が良くても)振られちゃう人がいるってことは、やっぱりさ、(データは)どうだっていいんだよ。ただ、きっかけとしてはいいんじゃないの?そのほうが便利だから、みんなそうしてるんでしょ?遊び場に行って、何かちょっと口説くよりも、そういうのが便利だからって。世の中、何でも便利になっているから。ただ、出会いに関しては便利になっているだけで、恋に関して便利ではない。恋はやっぱり便利じゃダメだよ。
(ニッカンスポーツ・コム/舘ひろし「人生哲学」)