TBS系「東大王」の実況として知られる杉山真也アナウンサー(38)。同局系情報番組「THE TIME’」(月~金曜午前4時30分)で、16年目のアナウンサー人生にして初めてMCを務めている。安住紳一郎アナウンサー(48)と香川照之(56)が司会を務める「THE TIME,」(月~金曜午前5時20分)の前枠で放送される兄弟番組だ。中堅アナウンサーに期待されていることって? 実況とMCの二刀流に挑む杉山アナに聞いた。
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中高時代に野球部に所属した杉山アナは、1、2番打者を任されることが多かったという。逆に野球の花形であるクリーンアップやエースピッチャー、キャプテンなどは経験したことがない。「TBSのプログラムだと『THE TIME’』が朝、最初の放送なので、ある意味トップバッター。いい形でチャンスメークするっていうのはMCとしても、私が番組に臨むにしても意識している部分ではあります」。
入社16年目にして初のMC業。いつかはやりたいと思い続けてきたが、同局が社運をかけて昨年10月にスタートした番組ということもあり、プレッシャーは相当だった。「ホームランを打ちたくても打てなかったんですよ、野球で。放送でも決してホームランバッターではないと自覚しているので、MCになったからっていきなりホームランを打てるわけじゃないというのはわかっている。であれば1日のTBSの流れを最初に勢いをつけられるように」。
10期上の安住アナには、MCを務めるにあたって相談した。安住アナは、直接的なアドバイスをくれるというよりは、背中で見せるタイプ。ただ、何か聞くと、ヒントを与えてくれるという。そこから学んだのは「今あるスタイル以上のものをださなくていいよっていうところ。あとは生放送の醍醐味(だいごみ)。何が起こるかわからないとか、リアルタイムで今、この会話を同じ時間帯で見たり聞いたりしている人がいる。そういうところを、映像で出したりとか文言で出したりする意識」。
「THE TIME’」では若手アナウンサーとともにニュースを届ける。「THE TIME,」では、進行役として安住アナや香川を支える。「『THE TIME,』は安住さん、香川さんがいらっしゃって中間管理職という感じ。もちろん安住さんと後輩たちもコミュニケーションとっているんですけど、両世代をつなぐっていう意識はちょっとあるかもしれないです」。
杉山アナの中では、2つ合わせて1つの番組、という認識があるという。両方の打ち合わせに出て、安住アナやスタッフの意向を聞いて、統一性を持たせるように心がける。
今年で39歳を迎える。同期には「Nスタ」(月~金曜午後3時49分)などで知られる井上貴博アナウンサーがいる。一般的な会社員としても最も脂が乗って“エース”としての活躍が期待される年次になった。「やりたいことができ始めてきた…んですけど、まだ足りない部分があって上には上がいて。例えば安住さん。その先輩を参考にしつつも、自分としてのオリジナリティーを出していきたいんだけど、まだ全てが確立されているわけではないというところの悩みとか迷いとかはあるのかな」。
番組に出演するアナウンサーの数は限られる。出番が減り、他部署に異動になる先輩や後輩もいる。「この番組を始める前までは『もう1つステージ上げないと』とは思っていましたね。そのステージに上がれるかどうかは、ここでの出来次第」とアナウンサー人生をかけて臨んでいる。
杉山アナは、大学3年時に1度アナウンサー試験に落ち、4年で再挑戦して入社した経緯がある。「武器がない」と悩んだこともあったという。そんな“挫折”を経験したからこそできることもある。「普通の学生で、偶然この会社に入ることができて、アナウンサーをやらせてもらっているので、見ている人に近い感覚っていっていいのかな。それは会社というか、番組に求められていることじゃないかな。より視聴者の方と近い距離感の目線で伝えていくっていうところなんですかね」。
アナウンサーもTBSも辞めようと思ったことは1度もない。「正直1ミリも辞める気はありません。しがみつけるだけしがみつきたい。ははははは」と豪快に笑った。そしてこう続けた。「やりがいはとてもあると思っていますが、適性的に天職だとは思っていない。これは井上(アナ)が言っていた気がするな、『選んだ道を正解にしないといけない』って。やりがいがあるからやっているって感じですかね」。
好きな言葉は「二刀流」。大谷翔平や高木美帆に刺激を受けた。「THE TIME’」が始まる際も「東大王」の仕事は絶対に残して欲しいと要望したという。「意外と2つの仕事の違いが出てこないかも。実況もMCも意識していることは視野の広さ。そこに熱量と冷静な心を持つみたいなところはどちらでも大事にしていることです」。
深夜1時に起床して出社するハードな日々を過ごしている。リフレッシュは地元の友達との草野球だそう。「ポジションはセンターを守っていたりします。打順は…」というと少し申し訳なさそうにこう明かした。「今はピッチャーをやったりもしているので、8番とか9番とか楽なところにしてもらっています(笑い)」。プライベートはまさかの下位打線。取材最後にオチをもってくる中堅アナウンサーの腕はさすがだった。【佐藤成】
◆杉山真也(すぎやま・しんや)1983年(昭58)10月3日、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒。07年TBS入社。現在は「THE TIME’」「THE TIME,」「東大王」のほか、スポーツ実況、「ジョブチューン」「ニンゲン観察バラエティ モニタリング」「SASUKE」など担当。ラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」の火曜パートナーも務める。趣味は野球。



