英国のヘンリー王子(38)が今年1月に出版した回顧録「スペア」の中で、アフガニスタンに従軍中にタリバンの戦闘員25人を殺害したと告白したことに抗議するため、ロシア人アーティストが血で染まった回顧録をアート作品として制作し、販売することが分かった。
英エクスプレス紙などによると、「オルターナティブ・スペア」と名付けられた作品を制作したのは、人間の血液や原油などを使った作品で国際的に高い評価を受ける仏パリ在住のアンドレイ・モロドキン氏で、チャールズ国王の戴冠式を直前に控えた5月2日に英ウィンザーにある店で展示販売されるという。
反戦アーティストとして知られる同氏は、ロシアがウクライナに侵攻した際にはウクライナ人の血で満たされた反プーチン作品を制作したことでも知られる。
血染めの回顧録に使われているのは、アフガニスタンの献血者が提供した本物の血液だといい、王子が殺害した兵士と同じ25冊を血で染め、1冊1万ポンドで販売。売り上げは全額アフガニスタンを支援する慈善団体に寄付するという。
モロドキン氏は、王子の回顧録を「ブラッドマネー(血の金)」と呼び、戦争への参加とその経験を「利益に変えた」と批判。タリバンをビデオゲームの悪役のように殺し、それを本にして自慢していると述べている。
ヘンリー王子は「スペア」の中で、「ボードから取り除かれたチェスの駒」に例えて戦闘員らを殺害したことを告白。「25人という数に満足はしていないが、恥じるべき数でもない」などと記して物議を醸した。タリバンからも、「あなたが殺したのはチェスの駒ではなく、帰りを待つ家族がいた人間だ」と抗議を受け、身の安全を懸念する声も上がっていた。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)



