1月に米ロサンゼルスを襲った壊滅的な山火事から7日で半年がたち、甚大な被害をもたらした西部の高級住宅地パシフィック・パリセーズと北東部アルタデアでは復興の兆しがようやく見えはじめている。
両地区合わせて1万6000棟余りの建物が焼失したが、うち住宅の約8割でがれきが7日までに完全に撤去され、予定より早く撤去作業が進んでいるとロサンゼルスのカレン・バス市長は述べている。市はこれまでに、600件を超える再建築開始要請を受けており、うち3分の1を承認しているという。
一方で、トランプ米大統領が推し進める移民取り締まり強化の影響で被災地では復興に必要不可欠な労働力不足が起きていることも伝えられている。ブルームバーグによると、史上最悪の山火事による脆弱(ぜいじゃく)な経済の立て直しに苦しんできたロサンゼルスは今、移民取り締まりによって作業に必要な人員が不足し、対策が急がれているという。ようやく軌道に乗り始めた復興に今後影響が出てくることが懸念されている。
ロサンゼルスは移民に寛容な「聖域都市」政策を長年掲げており、2019年には人口の3分の1にあたる340万人の移民が暮らし、そのうち約70万人が不法滞在者だとされている。特に建設業界は移民の労働力に大きく依存しており、約14.5%が不法滞在と推定され、接客業の17.1%に次ぐ割合だと伝えられている。
不法滞在者が多く働く建築現場や農園、洗車場、日雇い労働者が集う場所などで移民・税関捜査局(ICE)による大規模な摘発が相次いでいることを受け、拘束を恐れる移民たちが仕事場から姿を消し、地域社会全体に混乱をもたらしている。建築の遅延を引き起こしているだけでなく、農園では人手不足で収穫できずに野菜や果物が放置されて腐敗しているほか、営業停止を強いられる小売店なども出ている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)



