ものまね芸人コロッケが、デビュー45周年を迎えている。20日に初日を迎える東京・日本橋浜町の明治座公演「大逆転!戦国武将誉賑(せんごくかーにばる)」では、松平健(71)、久本雅美(67)、檀れい(54)と“4人座長”を務め、豊臣秀吉を演じる。ものまねレパートリー1000人以上、今年2月に変形性膝関節症のため両膝に人工関節を入れる手術を受けた“ものまね界のレジェンド”に聞いた。【小谷野俊哉】
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中学2年の時から、右耳がほとんど聞こえない。それでも、ものまねをやり続けてきた。
「右耳が真珠腫性中耳炎って、要は骨が溶けて聞こえない状態でね。でも、聞こえなくても大丈夫なんだと思う。多分、聞こえないことによって、他の人と違う想像をしてしまうようになったんですよね。それで“目で聞く”“耳で見る”っていう想像を膨らませることができるようになった、逆にね」
ものまねという音が重要な世界で、ハンディが逆にクリエーティブな感覚を研ぎ澄ました。
「目を閉じた状態で耳で聞いてると、この人はこういう声だけどこういう人なのかな、こんな歌い方をするから性格はこうなのかなと。砂利道、アスファルトを歩く音を聞いていて、横断歩道のところを渡っているのかなとか想像をする。全部そういう状態ですね。目で見たものは、音の想像をすることができる。“目で聞く”“耳で見る”っていうことを考えた時に、芸風がものすごく広がった。自分なりに想像してやれる。そこからから楽しくなっちゃう」
デビューから45年。ショーパブで披露していたものまね芸を進化させて、明治座の舞台に立っている。時代劇スターの松平健、宝塚トップ娘役だった檀れいとともに座長を務める。
「いや、まさかこんな風に残れるとも思ってなかった。逆に言えば、ものまねっていうのが、今回の舞台でこういう形で生かせるっていうのは、ちょっと考えられなかった。こんなにありがたいことはないですね、とんでもないですよ」
ワハハ本舗の久本雅美とは、笑いの部分を構築する。
「久本さんがすごいのは、ちゃんとしたお芝居をやって、そこからフライングしないで面白さをちゃんと出して見せていく。真面目にお芝居する時と、笑いを取りに行く時は、全く違う人。それを、ちゃんと使い分けれる人は、やっぱり久本さんしかいない」
ちゃんと芝居をした上での芝居。それはコロッケにとって、最大の課題だ。2011年(平23)に明治座で「棟方志功物語」を演じた時にほめてくれる人がいた。
「僕はものまねをやってるんだけど、芝居もちゃんとやった上でそこに入って行こうと思っている。『棟方志功物語』をやった時に、左とん平師匠に『棟方志功に、ちゃんと見えるよ』って言っていただけました。あれは、もう泣きましたね。今でも思い出すと、ちょっと泣きそうになりますけど『棟方志功にちゃんと見えるよ。志功がちゃんいる。コロッケじゃねえよ』と。あれはもう、最大限の褒め言葉でしたね。やっぱりね、そういう人が褒めてくれるっていうのが力になりますよね」
その生きざまを見てきた人の言葉が、自分の力となる。
「いや、もうとん平師匠のすごさを間の当たりにしてますから。花道を歩いて来て“引き算”で止まっただけで大爆笑です。そんな人、今いないです。これだけの喜劇人は、いないんですよ。小松政夫さんもそうです。こうやって、振り向いただけで大爆笑ですから。僕はやっぱり、そこを追っかけてますし、一緒の場を踏んで、それをどうにかできないかって、いまだに試行錯誤しています。逆に言うと、今は本当に少なくなってますからね。いないですよね、そういうところから出てきた人って。だからそういう意味でも、僕はそこを継いで行きたい」
(続く)
◆コロッケ 1960年(昭35)3月13日、熊本市生まれ。高校を卒業して上京。80年に日本テレビ系「お笑いスター誕生!!」でデビューして、6週連続勝ち抜き。85年フジテレビ系「ものまね王座決定戦」で大ブレーク。93年日本テレビ系「ものまねバトル」。13年「松尾芸能賞」演劇優秀賞。14年「文化庁長官表彰」。16年「第16回日本芸能大賞」。18年映画「ゆずりは」で、本名の滝川広志で映画初主演。19年「第28回日本映画批評家大賞」特別新人賞。171センチ。血液型B。



