俳優の仲代達矢(なかだい・たつや)さんが8日午前0時25分、肺炎のため亡くなった。92歳だった。主宰の無名塾が11日、公表した。無名塾出身の役所広司(69)は訃報に接し、心痛のあまり、追悼のコメントなどを出せる心境にはなれていないという。日刊スポーツの取材に、複数の映画関係者が明かした。

役所は、東京都千代田区役所の土木工事課に勤務し、道路工事の図面を書き現場監督もしていたが、その職を辞して22歳だった78年に無名塾に入塾し、200倍の難関を突破して俳優の道に飛び込んだ。役所広司という芸名を名付けたのも、仲代さんだった。

23年5月に、主演映画「PERFECT DAYS」(ヴィム・ヴェンダース監督)の演技が評価され、世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭(フランス)で日本人俳優として19年ぶり2人目の男優賞を受賞した際は、仲代さんにあいさつに行っていた。同6月13日に都内の日本記者クラブで開いた会見で「ご自宅にあいさつに行ったら、お祝いにシャンパンをいただきました」と笑顔で明かしていた。

長崎県諫早市出身の役所は「この時期になると(故郷の)九州から送ってくる、すいかを持って行く」と、毎年初夏に仲代さんにあいさつに行っていた。カンヌ映画祭男優賞を受賞した際に、仲代さんは「玄関で拍手してくれました」と喜んだという。「『これ、持っていけ』とシャンパンを持ってきてくれました」と、仲代さんからかけられた祝福の言葉まで明かした。

仲代さんも、1980年(昭55)の映画「影武者」(黒澤明監督)に主演し、カンヌ映画祭に参加。作品は最高賞のパルムドールを受賞したが、男優賞受賞はならなかった。役所は「(カンヌには)仲代さんも参加していらっしゃるが『俺は、もらえなかった』と。(自分の受賞を)本当に喜んでくださった」と明かしていた。