不発だった1983年(昭58)デビューの“お神セブン”が22日、東京・北千住のシアター1010で「83年組アイドルアラ!?還ライブ」を昼夕2回公演で開催する。松本明子(60)、森尾由美(60)、小林千絵(62)、桑田靖子(58)、大沢逸美(60)、木元ゆうこ(59)が3年ぶり3度目の結集。80年代アイドルの華やかな歴史の陰で、それぞれの道を歩んできた6人が、ステージに立つ。小林に聞いた。(2回連載の後編)【小谷野俊哉】

【前編はこちら】

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小林は「いつも片想い」で83年3月にアイドルデビューしたが不発。02年に8歳年下の旦那と結婚して、プライベートでは幸せをつかんだが、歌手活動は封印されたままだった。

「私たち83年組はデビューしてすぐに『不作』って言われました。前の年の82年組の人気がすごくて。中森明菜さん、小泉今日子さん、早見優さん、堀ちえみさん、石川秀美さん、三田寛子さん……。その余韻がまだ残っている時に私たちがデビューしたんです。世の中が『うわぁ、アイドルおなかいっぱい』っていう時だったんですよね。アイドルはもう82年組でほとんど埋まっていて、その後はどちらかというとニューミュージックの方へ時代が動いていったんじゃないかなと思います」

お笑いタレントの松村邦洋は、83年組を「野良猫集団」と呼んだ。

「松村さんが『野良猫集団』って言って、83年組めちゃくちゃ面白すぎるって。要は、もう開き直ってるんです。他のアイドルさんたちは、今もう1回返り咲いてアイドルをやっているけど、やっぱりかわいい感じじゃないですか。83年組は、8年前に最初にライブをやった時から『私たちはなぜ売れなかったんだ』っていうところから始まってるんです。だから、捨てるもんはない(笑い)。『不作を売りにしてずるい』って言われるんですけどね」

売れないアイドルは悲惨だ。デビューの時こそ、プッシュされるが、その後は売れっ子との格差を感じさせられる。

「1年目は新人祭とか、イベントでも“新人”という枠で、このメンバーはどこでも一緒だったんです。でも1年が過ぎると、次の新人が出てくる。新人という枠が外れると、みんなバラバラになる。その最後ぐらいの仕事が水泳大会。前日から泊まり込むんで、私の部屋に83年組のアイドルが集まったんです。そこでアッコ(松本明子)が『私たち、売れなかったよね』って、しみじみ言ったんです。『もうこれで、みんな会わなくなるね』『悔しかったよね』と。それでも『息長く、みんな頑張ろうね』と握手したんです」

芸能界での生き残りを誓い合った、忘れられないできごとだという。それでも、翌日の水泳大会本番では、過酷な現実に直面した。

「騎馬戦とかも、人気のあるアイドルは上に乗る。私たちは支える方の“馬担当アイドル”(笑い)。テレビに映してもらえないから『競技で勝てばカメラで抜いてもらえるんじゃないか』と思って。私、水泳が得意だったので、自由形に出て、息継ぎもせずに全力で泳いで1着になったんですよ。『カメラが待ってるかな』と思ったら、みんなの白い目が待っていた。『お前が勝つな』みたいな(笑い)。人気のある子は、後ろで溺れそうになりながら泳いでいても、ずっとカメラが撮っている。でも1着の私は撮ってくれてない」

10代から、つらい現実をのみ込んで、芸能界を生き抜いて生きた83年組。

「以前、カズレーザーさんと一緒に『なぜ83年組はこうも売れなかったのか』みたいな企画に出たんです(笑い)。その時にカズレーザーさんが『83年組は木で言えばスギですね』って。『どういうことですか』って聞いたら、『花は咲かなかったけど、その後もずっと花粉をまき散らしている』って(笑い)。どういう意味やねん、と思いましたけど、でも確かにそうなのかもしれない。大きな花は咲かなかったけど、その後もみんなそれぞれの場所で頑張ってきた。だから今こうやって集まれるんだと思います」

今回のライブでは全部、タレントである自分たちが企画から出演までこなす。

「もう全部、自分たちでやるんですよ。会場を押さえるところから、物販まで。Tシャツも作るんですけど、83年組のロゴを入れて、印刷屋さんと『どこが一番安い』ってやりとりしたり。振り付けも私がやりました。とにかく自分たちで作る、手作りライブです。前回(22年)がすっごく楽しかったんですよ。ファンサービスもすごかったし、途中でコントみたいなのも入って、お客さんもどっかんどっかん笑っていて。それで私、『うわ、楽しいな。コントやりたい』って目覚めちゃった(笑)。今回もコントをやります」

今回はデビュー曲と、もう1曲。6人が2曲ずつ、歌を披露する。

「今までは、自分たちの曲をやってもなって思っていたんです。『やってもしょうがないんじゃない』みたいな。でも最初にやった時、ファンの方から『なんで自分たちの歌をもっとやってくれなかった』『オリジナルをもっと聴きたいんだ』って声が来たんです。そこで『ああ、そうなんだ』って。私たち83年組の歌は、ここでしか聴けないんですよ。テレビやラジオでは、なかなか聴けないから。みんなが元気になれる歌をやります」

10代の少女だったメンバーたちも、還暦の声を聞き始めた。

「お客さんもアラ還、私たちもアラ還。だから、みんなで元気になろうね、というライブにしたいですね。80年代アイドルって、あの頃は雲の上の存在みたいな感じがあったんですよね。でも83年組アイドルは、もうほんとに同じ目線。同じ年代の方たちは、同じ時代を生き抜いた同志。雲の上どころか、手が届く。いや、手が届くどころか、こっちから手を伸ばす感じで、一緒に笑える。だから昔を思い出しすだけじゃなくて『ああ、私たちも頑張ろう』って思ってもらえるようなライブにしたいです」

人生100年時代。それでも60歳、還暦は大きな節目だ。

「もう人生100年時代だから、私たちもまだまだ頑張らないと(笑い)。でも、2年後だったら、本当にどうなっているか分からない。だから今、みんなが元気で、ライブができることが一番ありがたい。みんなで無事にライブを迎えて、無事に終われますようにって思っています」

(終わり)

◆小林千絵(こばやし・ちえ)1963年(昭37)11月20日、大阪・豊中市出身。80年に「西城秀樹の妹オーデョション」ファイナリスト。81年「ヤマハボーカルオーディション『ザ・デビュー』」優勝。83年「いつも片想い」で歌手デビュー。84年から「MBSヤングタウン」などに出演してバラエティーに活動の場を広げる。158センチ。血液型O。

▼「83年組アイドルアラ!?還ライブ」 8月22日、東京・北千住のシアター1010。正午、午後4時開演。