日刊スポーツの社会面で健康連載「万病を防ぐオーラルケア」を執筆した歯学博士の照山裕子氏がこのほど、「災害関連死ゼロサミット」に出席し、「おうち避難をみんなで考える」をテーマに、災害時に大切な人を守るための行動について講演した。

この夏も台風や豪雨災害が続いたように、命を守る行動として避難所での過ごし方とともに「在宅避難」が注目されている。「おうち避難のリスク対策」について、照山氏は「水の確保」と効果的な「うがい」方法を紹介した。

照山氏は災害時の口腔(こうくう)ケアについて「水の確保」の重要性について語った。「災害時に避難所や自宅で一番問題になるのが水の供給」として、災害関連死が増える危険性は水の問題とリンクしている点を説明。「口が渇くと唾液の流れが悪くなる。肺炎のリスクも増える」と指摘した。「おうち避難」の中では、少ない水量で「うがい」を効果的に汚れを流すことについて触れた。

照山氏の著書「歯科医が考案 毒出しうがい」では歯周病と口臭を予防する毒出しうがいを紹介している。「災害時で水の供給が十分ではない際にも、おちょこ1杯ぐらいのお水でグジュグジュ、強く音を出しながら汚れを出すことが大事」だと話した。

予防ケアのカギを握るのは唾液だとして「唾液は天然のシャワーです。自浄作用、抗菌作用、歯の炎症を抑える作用がある。避難時にはこういうメリットが得られにくくなってしまう」として「避難時に家族に高齢者がいる場合は、ドライマウス回避への積極的な介入が大事だ」と強調した。

◆照山裕子(てるやま・ゆうこ)日本大学歯学部卒。同大学大学院歯学研究科を経て東京医科歯科大学歯学部付属病院勤務。テレビやラジオでのわかりやすい解説が評判となり、雑誌のコラムや日刊スポーツでの連載を担当。文筆家としての活動も積極的に行っている。現在は東京医科歯科大学非常勤講師、日本アンチエイジング歯科学会理事、複数の歯科クリニックで診療。著書「歯科医が考案・毒出しうがい」(アスコム)は反響を呼び、ベストセラーとなった。ほか「『■(口ヘンに齒)む力』が病気の9割を遠ざける」(宝島社)など執筆。