今週、前回のコラムで書いた入院闘病中のM氏(70代)を見舞いに、都内の某大学病院に行ってきた。で、病室のドアを開けた瞬間、目に入ったのが、点滴につながれたまま競馬中継を凝視するM氏の姿。「よーし、取った! 今年102回目の万馬券。これで一息つける。入院費は想定外だし、バイト代も入らなくなるから、正直馬券で負けられないんだよ」。高額療養費制度を利用しても、毎月30万近い持ち出しというから驚きだ。
聞けば、2回目の抗がん剤治療が奏功し、来月手術することが決まったとか。「抗がん剤の影響で、朝がだるくて仕方ないが、好きな競馬に没頭できるから前向きに頑張っていける。競馬という趣味がなかったらと思うと、正直ぞっとするよ」。病室のテーブルに置かれた競馬ノートと競馬実況のスマホ画面(写真)が、M氏の前向きな闘病生活を物語っていた。
余談だが、M氏は平成初期、オートレースでプラス収支を刻み続けた車券名人。「ノブ(中村政信)が亡くなって26年。彼の絶対にあきらめないメイチの走りが、今も俺の脳裏に焼き付いている」。M氏が言う中村政信さんは99年にレース中の事故で亡くなった伝説のオートレーサー。あの片平巧さんと同期(19期)で、飯塚所属ながら船橋の島田信広さんに越境で弟子入りし、SGを2勝した逸材だった。また、残り1周8番手から写真判定の末に1着となったレースなども語り草。「俺もノブみたいにメイチの気概で頑張るよ。闘病も馬券もね」。
M氏の競馬ノートをのぞくと、マイルチャンピオンシップはレーベンスティールにこん身の◎が。「ノブ同様、レーンも常にメイチの騎乗なんだよ。マイルでも勝ち負けのレースをしてくれると信じている」。M氏に渡した見舞い袋にはエリザベス女王杯の的中馬券(レガレイラの単勝1万円)を忍ばせておいたが、それを発見したM氏は「それをそっくりレーベンスティールの単勝にぶち込んでくれないか。いや競馬に絶対はないから複勝にしておくか。がははは」。コロガシが決まれば、M氏の闘病生活の一助になるのだが……。結果やいかに!?



