今回の「ケイバラプソディー ~楽しい競馬~」は、下村琴葉(ことは)記者が岩手県遠野市にある「マウンテンビュー ステーブル(Mountain View Stable)」を取り上げる。屋根付きの坂路が自慢の休養・育成牧場。もともとグランド牧場と橋田満元調教師が利用していた施設で、昨年6月に小鹿俊秀代表が引き継いだ。遠野から強い馬を-。小鹿代表に話を聞いた。

   ◇   ◇   ◇

「昔あるところに貧しき百姓あり。妻はなくて美しき娘あり。また一匹の馬を養う。娘この馬を愛して夜になれば厩舎(うまや)に行きて寝いね、ついに馬と夫婦になれり-」(柳田国男『遠野物語』より)。

この後には娘と馬の悲しい物語が続く。このように岩手県遠野は昔から馬との関わりが非常に深い。現在では本州で唯一、乗用馬のセリが行われている場所でもある。

Mountain View Stableの屋根付き坂路
Mountain View Stableの屋根付き坂路

セリが実施される「遠野馬の里」の中に「マウンテンビュー ステーブル」はある。岩手競馬の馬が7割、その他に中央、南関東の馬が利用している。記者が取材した時には岩手の怪物フジユージーンが在厩していた。先日の阿賀野川特別を勝ったピースワンデュックもここを放牧先としている。

遠野は夏でも朝晩が涼しく、馬にとって過ごしやすい環境だ。それに加えて施設も充実している。自慢は屋根付きの坂路。冬の豪雪でも調教ができるのが強みだ。小鹿代表は「チップを入れてかなり深くなりました。かなり負荷がかかる馬場になっていると思います。地方の未勝利の馬とかは途中でしんどくなる子もいますね」と伝える。

全長1000メートルのダートコース
全長1000メートルのダートコース

トレッドミル、1000メートルのダートコース、発馬機も設置。それらを併用してトレーニングを重ねることで、力をつけていく。

そして専属獣医師がいることも心強い。「乳酸値を取って、その数値を見ながら負荷の調整とかをしています。オーバーワークを防げますし、獣医師さんが定期的に診てくれるのは預ける人にとっても安心ですからね」。馬の安全にも重きを置いている。

知名度は低くとも、競馬界のベースアップにつながる育成を目指すのは同じ。「放牧先で休養をするというより、遠野で鍛えて強くなって帰ってきたと言われたい。馬のいいところを伸ばす調教をしていきたいですね」。のどかな里山で鍛錬を重ねた馬たちの活躍が楽しみだ。

(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー~楽しい競馬~」)