先週の日曜に栃木県の那須塩原市で「第1回角居勝彦チャレンジカップ」が開催されました。もともとは馬術でシドニー五輪にも出場された広田龍馬さんがイベントを開催されると聞いて「楽しそうですね」と声をかけたら「角居さんもぜひ」と誘われまして、私が知らない間に話が進み、なんと障害飛越に挑戦する羽目になりました(笑い)。

競馬学校時代に小さな障害を跳んだことしかなく、それも30年以上も前の話です。練習をするにも、私の牧場にいる馬は歩くのがやっとの子ばかりです。競技の直前に少しだけ練習して、姿勢やタイミングを広田さんに見てもらいましたが、まずは経路を覚えるのが大変で、何よりもお客さんの前で落ちないか心配で、変な緊張感がありました。

乗ったのはクリアザトラック(16年朝日杯FS7着)とゼウスバローズ(ディープブリランテの全弟)で、かつて私が調教師として手がけた2頭です。競走馬の軽さはそのままに、しつけのいい馬になっていました。だから私が何もしなくても、オートマチックで障害を跳んでくれて、なんとかバーを落とさず終えられました。乗っているうちは「意外にいけるもんだな」と思ってしまいましたが、翌日は筋肉痛がひどかったです…。無意識に体に力が入っていたのでしょう。

「ウマ娘 プリティーダービー」のパネルと記念撮影する、左から広田氏、角居元師、古田代表(乗馬プラザ・ホースツリー提供)
「ウマ娘 プリティーダービー」のパネルと記念撮影する、左から広田氏、角居元師、古田代表(乗馬プラザ・ホースツリー提供)

場内にはCygamesさんの協賛で「ウマ娘 プリティーダービー」の等身大パネルが並べられていました。その中にはウオッカもいたので、私も一緒に写真を撮りました(笑い)。ワイルドな感じのキャラクターらしいですね。ゲームを通して若いファンを巻き込み、実在の馬がモデルなので引退競走馬にも関心を持ってもらえているようです。実際に会場で呼びかけた募金にも多くのご協力をいただきました。本当にありがたいことです。

イベントとしても盛り上がったようでよかったです。タイトルに「第1回」とあるので、これが「第2回」「第3回」と続いて、また障害飛越をやらなければいけないのは個人的にちょっと怖い気もしますが(笑い)、できるだけ力になれればと思います。競馬と乗馬の人間が一緒に活動するのはなかなかないことです。先日は池添学調教師が国体の馬術に出場したとも聞きました。こうした交流がどんどん深まっていってほしいです。(次回は来年1月20日掲載予定)

障害を飛越する角居元師。騎乗馬クリアザトラックはかつての管理馬で16年朝日杯FSでは7着に入った(乗馬プラザ・ホースツリー提供)
障害を飛越する角居元師。騎乗馬クリアザトラックはかつての管理馬で16年朝日杯FSでは7着に入った(乗馬プラザ・ホースツリー提供)

◆「第1回角居勝彦チャレンジカップ」は“満員御礼”の大盛況だった。乗馬プラザ・ホースツリーの古田雅士代表は「ものすごく盛り上がりました。角居先生は少しの直前練習だけで、あっという間に元所属馬2頭とコンタクトをとって減点ゼロ。競技会の走行とジャンプは圧巻でした」と感嘆。イベントではトークショーのほか、栃木県在住で来春にJRA競馬学校騎手課程に入学する富永龍斗さんの壮行会も行われた。