不利さえなければ勝つ。そういう乗り方でした。川田騎手とリバティアイランドは“負けない競馬”で牝馬3冠を達成しました。
出遅れる、包まれる、差し遅れる、といったリスクを丁寧に取り除く競馬です。もちろん、能力が抜けているからこそですが、絶対はないといわれる競馬において「絶対に負けない」競馬を見せてくれました。
まずスタートを五分に出ました。包まれないようすぐに好位へ。そこから内には入れず、向正面では外へ出すタイミングをはかっていました。3角で外へ導いて進路を確保し、4角手前で自ら動いて先頭。あとは押し切るだけでした。スローだったとはいえ、残り800メートルから動いて33秒6で上がられては、他の馬はどうしようもありません。能力が抜けていました。
2歳時のアルテミスSで敗れたことが、この3冠につながったと思います。どんなに強い馬でも負けることがある-。包まれて踏み遅れたあの一戦の反省と教訓が、ずっと生きているように思います。
リバティはドゥラメンテ産駒の最高傑作でしょう。そのドゥラメンテの母の母エアグルーヴの血もすごいなと私は感じています。思えば、エアグルーヴは負けるはずがなかった96年の第1回秋華賞で10着に敗れました。パドックでのカメラのフラッシュが一因でした。余談ですが、あの一戦から「フラッシュ禁止」のボードが掲げられるようになったのです。エアグルーヴが無念の敗戦を喫した秋華賞で、その血を継ぐリバティが3冠を達成。新しくなった京都競馬場で、新たな伝説が生まれました。
2着マスクトディーヴァは、ローズSの日本レコードが本物だったと証明しました。春の成績を思えば、一気にリバティに近づいた秋の成長は素晴らしいのひと言。これからもっと強くなるでしょう。3着ハーパーは桜花賞4着、オークス2着に続き、3冠すべてで好走しました。生まれる年が違えば…と思わずにはいられません。(JRA元調教師)







