<有馬記念>◇24日=中山◇G1◇芝2500メートル◇3歳上◇出走16頭

何十年たっても変わらないものがあります。「やっぱり競馬はいいな」。そう話した武豊騎手を見て、丸刈り頭のルーキー時代を思い出しました。栗東トレセンで、当時は調教師だった父の武邦彦さんと併せ馬をしていました。競馬が好きでたまらない。18歳の頃も54歳の今も、その気持ちは何ひとつ変わっていないのでしょう。だからこそ、武豊はスターなのです。

有馬記念を制したドウデュース(左)(撮影・柴田隆二)
有馬記念を制したドウデュース(左)(撮影・柴田隆二)

「信頼の勝利」です。ドウデュースはゲートで立ち遅れて、最初のコーナーは最後方グループでした。2500メートルもあるとはいえ、普通なら慌てます。ですが“これぐらい取り返せる”といった感じで、全く動じません。流れが落ち着いた向正面でようやくじわじわと上昇し、4角で馬群の外をまくってきた時には、もう突き抜けるなという手応えでした。あのきつい勝負どころで、それだけ動ける馬の心肺機能、底力もさすがですし、その末脚を信じて序盤に動かなかった鞍上もさすがでした。

最終コーナーを駆け上がるドウデュース(左から4頭目)と武豊騎手(撮影・鈴木正人)
最終コーナーを駆け上がるドウデュース(左から4頭目)と武豊騎手(撮影・鈴木正人)

1回で結果を出す。武豊の真骨頂を見ました。この日の騎乗は有馬記念の1鞍のみ。緊張しそうなものですが、どの競馬場でも誰よりも乗ってきたくらいのベテランです。けがの回復具合や、いろんなリスクも考慮しての選択だったと思いますが、その1鞍を勝ちきりました。2着ではなく、勝ったところにレジェンドのすごみを感じます。普通の50代ではありませんね。まだまだ騎手・武豊を見ていたい。そう思うのは私だけではないでしょうし、今も昔も競馬が大好きな本人が一番そう思っていると想像します。お見事でした。

有馬記念を制したドウデュースをねぎらう武豊騎手(撮影・丹羽敏通)
有馬記念を制したドウデュースをねぎらう武豊騎手(撮影・丹羽敏通)

2着スターズオンアースのルメール騎手も、さすがのひと言です。抜群のスタートを決めて、すぐ訪れる最初のコーナーで内ラチについた時点で、大外枠の不利は消えました。3~4角の手応えが良くなかったのは、小回り適性かもしれませんが、直線で盛り返したのは能力です。すごい騎手、すごい牝馬です。

3着タイトルホルダーは自分の競馬に徹し、横山和騎手が100%の力を引き出しました。ラストランにふさわしい、悔いのない競馬だったと思います。4着ジャスティンパレスは位置取りが後ろすぎたかなと思います。(JRA元調教師)

ファンのユタカコールにガッツポーズで応える武豊騎手(撮影・丹羽敏通)
ファンのユタカコールにガッツポーズで応える武豊騎手(撮影・丹羽敏通)