アイドルホースのメイケイエール(牝5、武英)が「全米デビュー」を迎える。現地4日(日本時間5日早朝)にサンタアニタパーク競馬場で開催されるBCフィリー&メアスプリント(G1、ダート1400メートル)に挑戦する。愛らしいルックスとまじめすぎる走りから、G1未勝利ながら写真集2冊が刊行されるなど大人気の“日本代表”。連載「エール to USA」(全3回)で、携わるホースマン3人の思いに迫る。第2回は管理する武英智調教師(42)。運命の馬と迎える10度目のG1挑戦だ。

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海外の地で悲願のG1初制覇へ。アイドルホース、メイケイエールが“全米デビュー”を果たす。武英師には、どうしてもG1を取りたいという並々ならぬ思いがある。

武英師 今の言葉で言えば「推し」として、多くの方々に応援していただいているのをすごく強く感じています。なんとかG1を取った姿を皆さんにお見せしたい、という一心でやっています。もちろんオーナーの馬ですが、我々だけの馬ではない、そういう感覚でやっていますし、皆さんと一緒に喜びを分かち合いたいです。

20年8月にデビューし、6つの重賞タイトルを手にしてきた。しかし、G1には9回挑戦して最高着順は4着。何度もその高い壁にはね返されてきた。

武英師 走るっていうことに対して、天才的な能力を持っているんですけど、それを自分で制御できないもろさ、不器用さがあります。それも含めてこの馬の個性ですけど、毎回いろいろなことがかみ合えばもっと力を発揮できるのに、というのは感じています。

開業2年目で出会った特別な存在だ。19年セレクトセールで一目ぼれし、落札してもらった思い入れの強い1頭。厩舎のJRA重賞初制覇もエールの20年小倉2歳Sで、初めての海外遠征も昨年暮れにエールと挑んだ香港スプリント(5着)だった。

武英師 本当に幸せなことです。セリで牡馬をメインに探している中、どうしてもこの子が目についたんです。雰囲気があって、いい馬だなって。そんな運命じみたところのある馬で、いろんな経験をさせてもらってる。ありがたいです。

10度目のG1出走の舞台は、米競馬最高峰のブリーダーズC。全国、そして世界の“エールちゃん”ファンにG1勝利を届けるため、自信を持っての挑戦だ。

武英師 得意の左回りでスピード競馬。周りの全体的なペースも上がるイメージが強かったんで、舞台は合っていると思います。また、海外遠征も2回目ということで、飛行機での輸送でも落ち着いていましたし、着いてからもカイバを食べているみたいです。日本と変わらず、いい状態でレースまで行けると思います。

エールと武英師の挑戦はまだ始まったばかりだ。

武英師 この子は記憶には残る馬だと思いますが、記録としてはG2勝ち止まりですし、まだだと思うんです。やっぱり記録も残さないと。引退するまで諦めませんから。

レース発走の1分前、1秒前まで人事を尽くし“最高の結果”を待つ。【藤本真育】