雷神改め、風神モレイラだ! 2番人気のサトノレーヴ(牡6、堀)が3度目のG1挑戦で、初のスプリント王に輝いた。短期免許で来日中のジョアン・モレイラ騎手(41)が風を読み、道中は馬群の中、直線は外に出して突き抜けた。遅いデビューに2度の長期休養を乗り越えてつかんだ悲願のタイトル。今後は招待を受けている香港への再遠征を視野に入れる。
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“マジックマン”が向かい風を追い風に変えた。G1ファンファーレが響く午後3時40分。中京の直線には、ダートコースの砂が舞い上がるほどの強い風が吹いていた。サトノレーヴの鞍上でモレイラ騎手は思い描く。「今日は直線の向かい風が強く、それに対する戦略があった。プラン通りに、直線の途中まで前に壁を作って、風の悪影響がないよう乗った。スペースができた最後の250メートルでしっかり反応してくれた」。ターニングポイントを振り返った。
地鳴りのような声援が響く勝負の直線。悲願を目がけて外から迫り来るナムラクレアに最後まで抜かせなかった。「最後の相手は、向かい風を受けた先行馬より、後ろからくる馬だと思っていた」。馬群をさばいて抜けた後は意図的に左ムチを入れ、外からくる馬にプレッシャーをかけた。ここにもマジックあり。レーヴとは3度目のコンビで「ゴールまで力強く伸びるようになっていた」と確かな成長も感じ取った。
陣営の我慢が夢をかなえた。3歳4月という遅いデビューに加え、半年以上の休養を2度も経験。間隔を空けた理由について堀師は「トモのバランスが狂い、関節に痛みが出て、バランスが戻るまでに時間がかかった。牧場の献身的なケアやオーナーの理解に感謝したい。それがあって復活できた」と明かした。普段からお世話になっている里見オーナー、自らが身元引受調教師となっているモレイラ騎手とのG1制覇には「感無量です」と笑みがこぼれた。
国内スプリント界を制圧し、次戦はすでに招待を受けている香港のチェアマンズスプリントプライズ(G1、芝1200メートル、4月27日=シャティン)を視野に馬の状態を見極めていく。昨年末の香港スプリント(3着)で敗れた地元の最強快速馬カーインライジングとの再戦も予想される。世界を股にかける名手は「今回のパフォーマンスを見ても成長しているし、いい勝負をする自信がある」と期待。初G1を追い風に、再び世界へと立ち向かっていく。【奥田隼人】
◆サトノレーヴ▽父 ロードカナロア▽母 チリエージェ(サクラバクシンオー)▽牡6▽馬主 里見治▽調教師 堀宣行(美浦)▽生産者 白井牧場(北海道日高町)▽戦績 12戦8勝(うち海外1戦0勝)▽総獲得賞金 3億9846万300円(同5412万8300円)▽主な勝ち鞍 24年函館SS、キーンランドC(以上G3)▽馬名の由来 冠名+夢(仏)

