「メイショウ」の冠名で知られる馬主・松本好雄オーナーが8月29日に膵臓がんのため亡くなった。87歳だった。代表取締役会長を務めていた株式会社きしろが2日に発表した。葬儀・告別式は近親者のみで執り行われ、後日、お別れの会が行われる予定。
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松本オーナーは将棋にも造詣が深く、アマチュア六段の腕前と伝えられる。女流棋戦のスポンサーも買って出て、「きしろ杯争奪関西女流メイショウ戦」は2005年度から4年間開催された。中京記念を勝ったメイショウキオウをはじめ、キセイ、オウテ、ヤグラ、トキン、カクミチ、ナリカク、オニテ、ヒシャ、ソウタといった将棋が由来の馬名もある。
親交があった将棋の阿久津主税八段(43)は「将棋界も大変お世話になり、応援していただきました。訃報を聞いて驚きました。ご冥福をお祈りいたします」と悼んだ。
15年ほど前、小倉の某店で偶然の出会いがきっかけだった。そこで松本オーナーが、ある記者と将棋を指していて大優勢の局面。どうした流れか阿久津八段(当時七段)にお呼びがかかり、途中からその記者に代わって指し継いだ。「最初は松本さんとは気付かず、途中からもしかしたら…と思っていました。将棋は追いつきかけて、二転三転しましたね。1時間ぐらいの熱戦で、最後は松本さんが逃げ切り。喜んでもらえました」。
将棋は本格派だったという。「本筋の将棋で、勝負どころでしっかり読みを入れる。基礎がしっかりしていた。とても丁寧に指されていました」。翌日は小倉競馬場の馬主席に招かれ、2頭勝ったメイショウの口取りにも加わった。
「同じ兵庫県出身ということもあって、明石市の将棋まつり(明石将棋フェスティバル)にも呼ばれ、会社も自ら案内していただきました。競馬場でもよく声をかけてもらいました。私は東京住まいで世代も違うのに、良くしていただきました。すてきな方でした」。
2012年にデビューしたメイショウチカラは、阿久津八段の名から命名されたのかも。人とのつながりを大事にした松本オーナーなら、さもありなん。将棋界にとっても大切な人が旅立った。【岡山俊明】

