「負け組の星」ハルウララ(牝)が9日、死亡した。29歳だった。千葉県御宿町のマーサファームで余生を過ごしていたが、9日に息を引き取った。高知の宗石厩舎から98年11月にデビュー。03年12月に100連敗を喫し、113連敗で引退した。不況にあえいでいた当時の地方競馬にあって、日本列島に社会現象を巻き起こし、多くの人に愛された名馬だった。
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◆一番乗り 高知競馬場正門前には午前6時には100人の列ができた。一番乗りは千葉県船橋市の男性(20=フリーター)ら、競馬好きの仲間計8人だった。21日に阪神競馬場を楽しんでから、レース終了後に出発。22日午前0時に高知競馬正門前に到着し、寝袋で川の字になって仮眠をとった。男性は「JRAの大レース前にはよく徹夜をするんで慣れている。でも6時に目が覚めたら後ろに100人もいるんでびっくりした」と話した。
◆開場40分繰り上げ 開門前に約3000人が詰め掛け、午前9時半予定を40分繰り上げ、午前8時50分に開場。入場料100円投入式の自動入場ゲートだけで対応できず、100円投入用の「洗面器」「空き箱」を使う臨時ゲートまで設けられた。
◆グッズ 1番人気はハルウララの「尾っぽの毛入りお守り」で、用意された3600個が午前11時に完売。一部を除き全グッズが売り切れた。ピーク時の列は500人以上で、購入待ち時間は最長約2時間。1日の総売上額は約1000万円に達した。
◆馬券購入5時間待ち? ハルウララ単勝馬券専用窓口にファンが殺到。「5時間待ってようやく買えた」という人や、1人で100枚以上買う人も…。レース直前でも窓口の混雑が続き、結局買えずに窓ガラスをたたいて抗議する客もいた。
◆駐車場 臨時を含め、約4000台分の駐車場が午前10時半で満車に。あぶれた車はレース中継用の大型スクリーンが用意された約5キロ離れた春野総合運動公園陸上競技場に誘導され、約300人がレースを観戦した。
◆売店 高知名物のクジラの刺し身を販売する「串勝」では午前中で品切れ。岡林食堂が用意した50個限定「ハルウララ弁当」も開門30分後に完売した。
◆競馬を知らないファン 競馬場が初めてという客も多く、場内には「馬券の買い方」を教えるコーナーが設置された。兵庫・淡路島から来た女性(70)は「わしゃ生まれて初めて競馬場に来たけど、どこに何があるかさっぱり分からん。ハルウララはパドックで見れるって聞いたけど、パドックって何のことや?」と困り顔だった。
◆警備 場内外含め、警備員は通常の約4倍の30人。高知県警も、阪神のオープン戦の約5倍の50人体制で警備に当たった。
◆報道陣 86社約350人に上り、ワシントン・ポスト紙の記者もいた。
◆常連客 高知競馬場では全国からハルウララ目当てのファンが殺到する一方、常連客は少なかった。売店の女性店員は「今日は普段の顔は全然見かけない」。開催日は大抵通っているという高知市の男性(56)は「どの窓口もすごい行列で並ぶのがしんどい。今日はもうやめや」とメーンレースを待たず、早々に退散。月に1度は訪れるという愛媛県松山市の男性会社員(46)も「常連にはいい迷惑や」と吐き捨てた。
◆都内 東京都港区の場外馬券売り場では、午前10時30分から高知競馬の馬券を販売。主婦を中心に行列ができた。昼休みにはオフィス街からサラリーマンが殺到。通常の2・5倍以上に相当する7465人が買い、売り上げは約1割増しの4934万円。女性も目立ち、初めて馬券を買うという女性会社員(25)は「勝っても負けてもいい。記念に持っておきたいから」。
◆北海道 北海道も沸いた。札幌競馬場には4685人のファンが詰め掛けた。「滞留時間は短いのですが、予想以上の入場です」(ホッカイドウ競馬事務所)。旭川レーシングセンター、帯広競馬場、北見競馬場、ハロンズ釧路では通常の1・5倍となる計1853人を動員。札幌競馬場では100円の単勝馬券を140枚購入したファンも。ホッカイドウ競馬ではハルウララが出走したレースのみの売り上げは1842万9700円。うち単勝馬券が約半数を占めた。初めて馬券を購入する来場者のために「ハルウララの馬券の買い方」コーナーを設けるなどの対応をしたが、発券機から釣り銭や馬券を取り忘れるなどのハプニングが20件以上あった。
◆ハルウララ 1996年2月27日生まれ。馬名はNHK連続テレビ小説の「天うらら」から。父ニッポーテイオーは87年天皇賞(秋)でG1も勝ち、通算8勝(21戦)。母ヒロインはJRA所属で11戦0勝。98年11月17日高知競馬1Rでデビュー。5頭立てで5着。これまで2着4回。引退時期は未定だが、北海道浦河町で余生を過ごすことになっている。
(04年3月23日付の日刊スポーツ紙面に掲載。年齢、数字などは当時)

