松本マジックがさく裂だ-。デビュー5年目の松本大輝(ひろき)騎手(23=森秀)が緩急自在の逃げ切り勝ちを決め、9番人気ミステリーウェイ(せん7、小林)と人馬でうれしい重賞初制覇を果たした。勝ちタイムは2分30秒2。管理する小林真也調教師(44)は22年東京ハイジャンプ(ゼノヴァース)以来のJRA重賞勝利となった。1番人気スティンガーグラスは2着だった。
◇ ◇ ◇
後続が外からどんどん迫る。それでも内ラチ沿いの先頭をひた走るミステリーウェイとの差は詰まりそうで詰まらない。松本騎手は176センチの長身、リーチの長さを生かした騎乗フォームで必死にステッキを振るい、パートナーを鼓舞した。しぶとく粘り込み1着を確信した瞬間、右手を高らかに突き上げた。「特に作戦はなく、馬の気持ちを尊重してそれがああいう(離して逃げる)形になりました。僕の中で一番大事にしているのが馬の気持ちを最大限に理解すること。この馬こそ最も気持ちが大事なんです。道中ストレスをかけなかったことが坂を上がってのひと伸びにつながりました」と喜びをかみしめた。開業5年目で平地重賞初制覇の小林師も「完璧でした。松本君のセンスですね」と賛辞を惜しまなかった。
殊勲の鞍上はここまで決して順風満帆ではなかった。22年に32勝を挙げるも近2年は9勝、8勝と年間1桁勝利が続いた。何とか現状を打開しなければならない。自身の努力の方法などを改めて見つめなおした。「勝っている方々は努力の質、量が全然違う。正直、これまでは行動に移せていませんでした」と己を奮い立たせた。
「ここ2年成績が下がり、気持ちを入れ替えて今は一からやり直している最中でした。北海道では(横山)和生さん、(藤岡)佑介さんに、また安田翔伍先生、福永祐一先生などいろんな方に聞かせていただきました」。先輩にもアドバイスを求めながら精神面、技術の研さんに励む日々を送っていた。懸命な努力のまっただ中に重賞の大舞台で勝利の女神がほほえんだ。
ビッグタイトル獲得は通過点に過ぎない。「こうして大きなレースを勝ててうれしいですし、関係者の皆さま、師匠、そして頑張ってくれた馬に感謝したいです。馬の気持ちに寄り添う中でも勝ちにこだわり、勝てる騎手になっていきたい。今後も馬と一緒に頑張りたいです」。人馬の快進撃は始まったばかり。自身のポリシーを貫き、松本騎手とミステリーウェイはさらなる高みを目指す。【井上力心】
◆ミステリーウェイ▽父 ジャスタウェイ▽母 ジプシーハイウェイ(ハイシャパラル)▽セン7▽馬主 (有)社台レースホース▽調教師 小林真也(栗東)▽生産者 社台ファーム(北海道千歳市)▽戦績 36戦6勝▽総獲得賞金 1億9066万8000円▽馬名の由来 神秘的な道

