【北京28日=松本航】北京オリンピック(五輪)に臨むアイスホッケー女子日本代表「スマイルジャパン」(世界ランク6位)が、初の1次リーグ突破へ好感触を得た。27日に現地入りし、この日は会場の五カ松体育センターで初練習。選手村の生活も快適といい、開幕前日の2月3日に迎える初戦のスウェーデン戦(同9位)に平常心で向かう。4年前の平昌大会は2勝。3大会連続出場の大舞台で、新たな歴史をつくる。

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きらびやかな照明、目に入る五輪マーク。現地時間午後4時に始まった初練習で、スマイルジャパンは激しく、そして素早く動いた。3大会連続出場のFW大沢ちほ主将(29)は「まだそこまで実感がない。選手村の雰囲気やリンクのオリンピックマークで『会場なんだな』と感じました」と五輪への心境を明かした。

前日から環境面で前向きな要素が多くあった。選手村の間取りはリビングが1つあり、選手4人が1人部屋で過ごす。風呂も3つ設置されているといい、過去2大会を思い返して「すごく広い。今までで一番快適。ストレスなく過ごせます」とニッコリ。

新型コロナウイルス対策で食堂の座席は1席ごとに区切りがある。周囲の表情も見えないというが「日本での合宿中も(対策を)やっていた」と問題なし。驚いたのは「入国した空港で空間にシュッシュッと(消毒液を)やっていて『そこは日本ではあまり見かけないな』と思いました」という程度だ。

本番会場は普段、日本で練習するリンクより数メートル単位で狭い。相手へプレッシャーをかけ続けることが求められ、一方で素早い状況判断を強いられる。飯塚祐司監督(47)は「(14年)ソチの時はみんな五輪を知らなかった。世界選手権と同じように、あまり気負わないでいきたい」。過去最高6位となった昨夏の世界選手権を思い返し「独特のサイズを意識したい。チーム力は上がっている。3度目で五輪への自信を持っている」と冷静に分析した。

鍵を握る初戦は開会式前日のスウェーデン戦。3大会連続出場で最年長39歳のFW久保英恵(西武)は「そこで勝てば、いい流れに持っていける」と言い切った。チーム、さらには日本選手団へと追い風を吹かせ、スマイルジャパンが北京から最高の笑顔を届ける。

◆アイスホッケー女子 3大会連続4度目の五輪に臨む日本は前回大会で初勝利を含む2勝を挙げ8チーム中6位となった。今回は10チームで争われる。総当たりの1次リーグはA組(世界ランキング上位5チーム)と日本などのB組(同下位5チーム)に分かれ、A組全チームとB組上位3チームが準々決勝に進む。準々決勝(A1-B3、A2-B2、A3-B1、A4-A5)の敗者の順位は<1>A組の順位<2>B組の順位で決まる。準決勝敗者は3位決定戦に回る。

 

○…久保が集大成の五輪へ決意を示した。最終メンバーには入れなかったが、開催国枠で初出場した98年長野五輪前に代表候補入り。10年に1度は現役引退を決めたが復帰し、14年ソチ五輪から3大会連続出場を果たした。練習では精力的に汗を流し「緊張は普段からしていない。五輪の場を楽しんでやりたいです」。大舞台へ「アイスホッケー人生の集大成として、悔いが残らないように、笑顔で終わりたい」と力を込めた。