体操男子日本代表のエース内村航平(27=コナミスポーツ)は19日、リオデジャネイロ五輪へ20日に出発にするにあたり、都内で出発直前の会見に臨んだ。20日に経由地ダラスに入る予定で、飛行機が苦手な内村は「できることなら、離陸前に寝てしまいたい。ずっと寝ていたい」と、リラックスしたムードで質問に答えた。

 ただ、ドーピング問題でロシア選手の五輪出場が揺れている問題には、低く落ち着いた口調の中に、ドーピングへの強い抗議の姿勢を打ち出し、同時に体操界がいかにドーピング問題とは無縁かという認識を強調した。

 内村

 ドーピングに関しては、体操はほとんど関係ないと思っています。興奮剤でつり輪の技術が上がることはないですし、以前の講習会で体操のドーピングは全世界で1件しかなかったと言われたことがあります。だから、選手は薬物に頼らないし、興味もない。体操ほど、練習でしか、成果を出すことができない競技はないと思っています。

 その体操でも、毎年検査をたくさん受けてきた。そんな時は内村はドーピングの担当者に「体操は関係ないんですけどね。絶対しないですよ。でも、みなさんも検査しないとしょうがないんですけどね」と、ねぎらいの言葉をかけつつ、検査を受けていることを明かした。

 そうした現状を踏まえつつ、内村のコメントのメッセージ性は強まった。

 内村

 薬物で体操の競技力は向上しない。練習でしか上がらない。(もしもロシアの体操選手が五輪に出られないなら)残念としか言いようがない。(ドーピングをしていない)他の選手に飛び火するのはどうかな、と思います。違反した人だけでいいのでは。(違反していない人の五輪出場まで影響するのは)ちょっと違うなと。それまでの努力をバカにされているみたいで良くないと思う。

 五輪本番を直前に控えつつ、ネガティブな話題だったが内村はいかに体操がドーピング問題とは無縁かを、冷静な口調でアピールした。