川口聖二が「僕、会心!」の走りで1着を取った。「やったりましたよ!」で始まった川口劇場。その横を尾方祐仁と長谷部龍一が通りかかった。「尾方はバンジージャンプを飛んで、怖いものがなくなったらしい。『先行くらい怖くない』で逃げ切りですよ。長谷部、開催が終わったらお前もバンジー行くか!」と誘った瞬間「いや、僕は大丈夫です…」と断られた聖二の寂しそうな顔を私は見逃さなかった。
2予で逃げ切った福田稔希が、真杉匠や吉田拓矢、深谷知広などそうそうたるメンバーと高地合宿を張り結果を出している。「どんなメニューだった」と聞くと、午前は400メートルほどの上り坂を10本2セット。午後はさらに長距離をもがき、それを3日間行った。私も行ったことがあるが、5本もがきで吐いて終わるほどのハードなトレーニングだ。彼も吐きながらそのメニューをこなしたようだ。しかし、そこで「真杉さんや吉田さんは弱音を吐かずに取り組んでいた」ことで、自分の甘さを目の当たりにした。隣にいた聖二は「永井(清史)さんと、ランニングとパワーマックスやりました!」と、何か違うが、上を目指す志は変わらない。
準決11Rは積極型が3人そろい、ハイピッチなレースが想定される。しかし「徹底先行で上位を目指す」(福田)志があるので、ここでひるむことはないだろう。相手が根気負けするまで先行を貫く姿勢が、これからの福田を大きくすると見ている。川口劇場で笑わされながらも、印象に残った福田の話だった。
(日刊スポーツ評論家)























