今週もいくつかフットボール界の経済的なニュースが飛び込んできました。
マンチェスター・ユナイテッドは突然株価が23、24ドル付近から20ドル近くまで急落。下落は19ドルで止まりましたが、即日「チームの売却は破談」のBBCニュース速報が流れました。以前からお知らせしている通り、いくつかの入札がありましたが、結局は現オーナーの希望する金額に届かずということで、ファンは現オーナーであるグレイザー氏に対してどこまで金にがめついのかと大ブーイングの嵐。ネット上では“このクラブの今シーズンは終わった”という声が相次ぎました。
一方、昨シーズンはなんとか首の皮一枚繋がったエバートンでしたが、ここにきてチーム売却決定のニュース。1878年に設立された古豪クラブで、1980年代までは9度のリーグ制覇を含め数多くのタイトルを獲得したイングランドフットボール界を代表する存在です。しかしながら90年以降はリーグ中位がやっとの状態で、ここ数年も補強が上手く働かず下位に沈みがちの状況でした。
近年の動きでいけばイギリス系イラン人の実業家アルダヴァン・ファルハド・モリシ氏が2016年にクラブを買収。これまで7億5000万ポンド(約1380億円)以上の資金を投入してきましたが、これがまたことごとくうまく機能せず。ファンからはその場その場で対応してもうまくいくわけがないと辛辣なコメントが相次ぎ、ここにきてようやく新興投資会社の777パートナーズに売却が決定しました。この777パートナーズは、ベルギーのスタンダール・リエージュやその昔カズが所属していたイタリア・ジェノア、ブラジルのバスコ・ダ・ガマの所有権を保持しており、何か新しい風が吹きそうな、ポジティブな期待を感じます。
1月の市場をどのような順位で迎え、いかに補強するかが見ものではありますが、今シーズンのプレミアリーグは今までになく競争が激しく、一瞬たりとも気が抜けないのは事実です。どのような予算を組み、選手を獲得してチームを立て直すのか注目です。
スペインでも今シーズンのサラリーキャップが発表されました。プレミアリーグのように放映権が高値で売れていないのがリーグの悩みでもありますが、とにかく無駄なコストは抑えなければなりません。このサラリーキャップはそんなところを起点にしており、リーグそのものを支えるクラブ毎にコスト制限を設けたものになります。当然クラブのその年の売り上げに応じた制限がなされており、そのサラリーキャップ制限を超えてのコスト利用は認められません。ここでのコストは移籍金と給与を指しており、つまりクラブ運営の肝になる部分になります。
昨夏の移籍市場が閉まった後の9月に発表した金額と比較すると、1部20クラブの合計額は約3000万ユーロ(約42億円)減の30億2263万6000ユーロ(約4231億6904万円)となっており、規模は縮小傾向であることがわかります。その中でも、営業収入を増やしたクラブは、この限度額が増え、逆に減らしたところは少なくなります。バルセロナ、アトレチコ・マドリード、セビージャ、エスパニョールの4クラブが減少と発表されてり、バルセロナは様々なニュースが飛び交いますが、以前として厳しいファイナンス状況であることには変わりなさそうです。トップは昨年に続きレアル・マドリード。その額は6億8346万2000ユーロ(約956億8468万円)にもなっており、しっかりとした営業基盤があっての数字です。スタジアムの建て替えでコストをかける面があった中でのこの状況は、経営面のうまさを感じます。
久保建英選手が所属するレアル・ソシエダードは1億3419万9000ユーロ(約187億8786万円)で6位とのこと。リーガはトップ2チームが突出しているとはいえ、同じリーグでここまで資金力に大きな差がありながらも同等の戦いができるというところがまた一つフットボールの魅力にはなるのでしょうか。今シーズンのさらなる活躍に期待です。
【酒井浩之】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「フットボール金融論」)




