アメリカ本場のスポーツ文化に触れてみようと、メジャーリーグ(MLB)観戦に出かけた。ヤンキース対ドジャースという伝統チーム同士の一戦だった。

マンハッタンの中心部から地下鉄に乗り、ヤンキースタジアムへ。最寄り駅を下り、地上に出ると目の前に立派な球場が見えた。

これがヤンキースタジアムか…。ヤンキースと言えば、ベーブ・ルース、ルー・ゲーリッグ、ジョー・ディマジオ…。その歴史の重みを感じながらそそり立つ大きな建物を見上げた。

試合2時間前。球場外には大勢の人があふれ返っていた。開門されるまでしばらく人混みを避けようと少し離れた木陰で休んでいた。すると、目の前を年配の日本人男性が通り過ぎていく姿が目に留まった。

マッシー村上(村上雅則、82)さんだ。南海ホークスから1964年(昭39)にサンフランシスコ・ジャイアンツに入団。アジア人で最初のメジャーリーガーとなった伝説の人である。

「村上さん!」。つい声をかけた。30年ほど前に1度だけ取材させていただいたことがあった。そのことを伝え、しばし球場に向かう足で雑談に応じていただいた。昨年にアメリカで日本人のメジャー挑戦を描いたドキュメンタリー映画が製作されたことに伴い、その仕事の関係で訪問したのだと話してくれた。

パイオニア精神。誰もやっていないことにチャレンジした人。現代風に言えば「ファーストペンギン」である。最初にやる人の勇気と決断力が何もないところを踏みならし、その後に続く者たちの道を作る。

この日はドジャースの先発投手は佐々木朗希であり、大谷翔平は1番指名打者だった。今やMLBには多くの日本人選手が渡り、活躍しているのも、62年前の村上さんがいたからこそだろう。

初めて見るMLBは刺激的だった。伝統の重みと現代の華やかな演出がいい塩梅だった。観客の感情の波を作るため、アップテンポの音楽や大型スクリーンの映像も巧みだ。随所に挿入されるビリー・ジョエルの名曲も心に響く。試合前には国歌斉唱で厳かなムードも出したりと、とにかく飽きさせない。

「ベースボールパーク」とはよく言ったものだ。スポーツの持つ明るさや開放感が球場内にあふれ、楽しい気分を味わえた。あらためてスポーツ大国の持つ力を感じた。

そして、いよいよW杯も決勝を迎える。そのハーフタイムショーにはマドンナ、BTS、シャキーラ、ジャスティン・ビーバーと豪華なラインアップがそろう。名勝負の興奮をより高めるためには演出も大事なのだ。サッカーのおもしろさや感動が、より広く、深く伝わることと思う。【佐藤隆志】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サカバカ日誌」)

バックスクリーンに映し出されたドジャース大谷翔平の姿
バックスクリーンに映し出されたドジャース大谷翔平の姿
バックスクリーンに映し出されたドジャース大谷翔平の姿
バックスクリーンに映し出されたドジャース大谷翔平の姿