【レンヌ(フランス)24日=松尾幸之介】W杯フランス大会を戦っている女子日本代表「なでしこジャパン」は、25日(日本時間26日午前4時)の決勝トーナメント1回戦オランダ戦に向けた前日練習を行った。

同日にはイタリア-中国戦もあり、中国と日本が敗れるとアジア勢は全滅。これまで女子W杯でアジア勢が8強入りを逃したことはなく、勢いのある欧州勢とのプライドをかけた一戦になる。高倉麻子監督(51)は公式会見で、最後まで戦いきることを誓った。

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アジアの威信をかけて戦う。レンヌの空は雨雲が覆い、選手は体をぬらしながら冒頭15分のみ公開で調整した。17年欧州女子選手権を制した強豪オランダとの一戦。自身3度目のW杯でチームをけん引するFW岩渕は「少ないチャンスを仕留めるだけ。このチームで1試合でも多く戦いたい」と力を込める。

今大会は5カ国が出場したアジア勢が苦戦している。タイと韓国は1次リーグを3連敗で敗退。昨年のアジア杯準優勝のオーストラリアは決勝トーナメントに進出したが、22日の1回戦でPK戦の末にノルウェーに敗れて姿を消した。残るは99年米国大会で準優勝経験のある中国と、アジア勢唯一のW杯優勝経験を持つ日本のみ。イタリアと激突する中国とともに日本も敗れると、8回を数える女子W杯で初めてアジア勢が8強進出を逃すことになる。

公式会見に出席した高倉監督は「アジアの代表として、国の代表として、誇りと責任を持って戦う」と誓った。決勝トーナメントからは現体制で未経験の延長、PK戦までもつれこむ可能性もある。そんな未知なる戦いについては「最後まで戦いきるということで、特に特別な何かはない」と冷静に答え、「その時々にグラウンドで起きることを拾い上げて選手に伝え、勝ちに向かって進んでいけたら」と話した。

決勝トーナメント1回戦は22日から各試合が始まっており、ドイツ、ノルウェー、フランス、イングランドが勝ち上がるなど近年、強化を進める欧州勢の躍進が目立つ。そこに割って入るためにも負けられない一戦。岩渕と同じく3度目のW杯となるDF鮫島は「いろんなプレッシャーがかかる試合になる。前半を無失点で後半勝負に持っていけたら。ペナルティーエリア内の攻防でどちらが勝つか」。なでしこの誇りを胸に、決戦に向かう。