尚志6年連続V、染野絶妙ループ弾「うまい」監督

<高校サッカー選手権福島大会:尚志1-0聖光学院>◇決勝◇17日◇郡山市西部サッカー場

昨年度の全国選手権4強の尚志が、聖光学院を1-0で下し6年連続11度目の優勝を決めた。

0-0で折り返した後半2分に、U-18日本代表のFW染野唯月(3年)が、こぼれ球をワントラップし左足で絶妙なループシュート。昨年度大会の得点王がエースの決定力を見せつけ決勝ゴールを奪った。

全国選手権は18日に組み合わせ抽選会が行われ、12月30日に東京・駒沢陸上競技場で開幕する。

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超高校級ストライカーの嗅覚、そして技術だった。後半2分、ゴール前に入れられたロングボールのこぼれ球が、染野の前に転がってきた。競り合いで前に出ていたGKを見極めループシュート。順天大時代にバルセロナオリンピック(五輪)予選にも出場し、卒業後は福島FCでもプレーした仲村浩二監督(47)も、うなるしかなかった。「あれはうまいなあ。思い切り打ちたくなるところを、余裕を持ってインサイドでパスみたいにループ。よく一瞬の判断でね。監督としてこういう選手に出会えているのは幸せ」と再びうなった。

ベトナムで行われていたU-19アジア予選から1週間前に帰国したばかり。疲労蓄積の中でも、エースの仕事をしてみせた。染野は「サッカーは楽しんでやるもの。楽しんでいなければループで打てなかったと思う。見ている人たちに、染野ってこういう人だと実感させるように意識している」と、J1鹿島アントラーズ入りが内定している男には、すでにプロ意識が備わっていた。

代表招集でチームを離れることが多いが、仲村監督は「染野がいなくても勝てるチームにしよう」と言い続けてきた。この日は大学の入試などで3年生4人が欠場も、選手層の厚さを見せつけた。FW山内大空主将(3年)は「染野のおかげで練習の質、基準が高くなる。自分たちもついていけるように頑張るし、自分たちのレベルが上がることがあいつのためにもなる」と、その存在感の大きさを認める。

台風19号の影響で新幹線が動かず、10月14日のプレミアリーグEAST、青森山田戦は、バスで宮城、山形、秋田を迂回(うかい)し、深夜1時に青森に到着した。仲村監督は「(青森)山田に勝ったとなったら『高校生たちが頑張っているんだからオレたちも』と思ってくれるかもしれないぞ。最後まで諦めずにやって福島の人たちを元気づけよう」と鼓舞。昨年の準決勝でPK負けした日本一チームを相手にロスタイムのゴールで勝利した。

全国選手権では長崎・国見の平山相太氏以来の2年連続得点王の期待も高まるが、染野はプレー同様冷静だ。「チームの優勝が最優先。自分のタイトルはプラスアルファのところで後からついてくると思う」。エースで底上げされた尚志が、今年こそ全国初制覇に挑む。【野上伸悟】

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  • 6年連続11度目の優勝を決め喜ぶ尚志の選手たち(撮影・野上伸悟)