開幕スタメンと東京オリンピック(五輪)出場を背水の覚悟でつかむ。ベガルタ仙台MF椎橋慧也(22)は、昨年6月までU-22(現U-23)日本代表に選出されていたが、それ以来しばらく代表からは遠ざかっている。昨季のリーグ戦も12試合の出場に終わり、さらに今季レギュラーを狙うボランチは最激戦区とあって、人一倍強い思いで2020年シーズンに臨んでいる。沖縄・糸満市でのキャンプは6日目に突入。19日は午前午後の2部練習でセットプレーの確認などを行い、今日20日に組まれているFC東京との練習試合に備えた。

昨季、椎橋はどん底でもがいていた。けがで出遅れながらも出場機会を増やし、チームでの地位を築きつつあったが、昨年7月のアウェー浦和レッズ戦で流れが変わった。2度の警告で後半早々に退場。そこから出番を失い、約5カ月スタメンを外れた。「初めて退場し、チームにも迷惑をかけ、出られない時期も続いた。その中で腐らず、クオリティーのところで今発揮できてる部分もある。試合で結果を出すに越したことはないが、それができなかったなりの過ごし方をしてきたので、今季は悔しさをバネに試合に出続けたい」と意気込む。

同6月、U-22日本代表としてトゥーロン国際大会(フランス)の準優勝に貢献した。3試合に先発し、ベストイレブンにも輝いたが、招集は同大会が最後。「開幕から出続けないとオリンピックのチャンスはないので、そこに照準を合わせてやっていきたい」と言葉に力を込める。

現在タイで行われているU-23アジア選手権で日本は、1分け2敗で1次リーグ敗退。「僕も出てたわけではないので、えらそうなことは言えないですけど、現段階で日本を代表している僕らの世代が、ああいう負け方をして『自分こそ』という気持ちが強くなった。だからこそ『開幕スタメン』は1つのキーワードだと思うので、そこに向けて1日1日取り組むだけです」と語った。

東京五輪世代の椎橋には高い壁が立ちはだかる。昨季の中盤を支えたMF松下とMF富田が健在で、ボランチもこなすDF吉野がサンフレッチェ広島から加入。仙台2年目のMF中原も好調で、スタメン確保は簡単ではない。それでも日ごろの練習から攻守で躍動しアピール。今季は「運動量」と「ボールを失わない」をテーマに掲げ、反骨心と向上心で、形勢を逆転する。【山田愛斗】