東京オリンピック(五輪)世代となるサンフレッチェ広島MF浅野雄也(23)が「ピースマッチ」を制する決勝点を挙げ、1-0で湘南ベルマーレを撃破した。前半終了間際、DF佐々木翔からの左クロスに反応してファーサイドに飛び込み、左足ボレーで今季2得点目。広島への原爆投下から75年の節目に開催された平和を祈るホーム戦で勝利に貢献した。

日本代表でも活躍する兄拓磨(現セルビア・パルチザン)に負けない存在感を放った。

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派手な得点シーンだった。前半終了間際、DF佐々木の左クロスに合わせ、MF浅野がファーサイドに入った。「ここだけの話ですが(照明)ライトがかぶって見えていなかった」と振り返る難しい状況でも、自らを信じて直接、左足でボレーシュート。少しダフりながらも強烈な弾道で、ゴールネットを揺らした。2月の鹿島アントラーズとの開幕戦以来となる本拠地勝利をもたらし「ホームで勝つことに意味がある。勝てて良かった」と素直な笑みをみせた。

広島への原爆投下から75年という節目に合わせ、湘南戦は平和を祈るピースマッチとして開催された。入場時には「原爆の日」となる8月6日を意味する背番号86の入った平和記念ユニホームを着用するなど、特別な試合だった。今季、J2水戸ホーリーホックからサンフレッチェ広島に復帰。5日ルヴァン杯北海道コンサドーレ札幌戦に続く公式戦2試合連発となった浅野は「周りがうまく自分を生かしてくれる。本当にみなさんに感謝です」と謙虚に話した。

7人兄弟の四男。日本代表FWとしても活躍する三男、拓磨の弟として決して小さくない注目と話題を呼んでいる。大体大を卒業後、J2水戸を経て広島へ加入。先月4日の神戸戦でのJ1初得点は、今季の初シュートが初ゴールと目立つプレーも多い。8月5日には兄がセルビアリーグの20-21年シーズン2戦目となるノビパザル戦で、今季初ゴールをマークしたばかりだ。

浅野は「ライバルとしての意識はある。今はタク(拓磨)を意識するよりも自分のプレーをしっかり出したい」と決意も新た。このまま活躍を続ければ、16年リオデジャネイロ五輪に出場した拓磨に続き、1年後に控える東京五輪への道も開けていけそうだ。【藤中栄二】