昨季17位からの巻き返しを狙うJ1ベガルタ仙台は18日、仙台市内で始動した。

08~13年にチームを指揮した手倉森誠監督(53)が8季ぶりに復帰。新体制初日はミーティングから始まり、ランニングやボール回しなど自主トレ形式で行われた。

雪が残るグラウンドで練習を見守った指揮官は「今日、目の前にいた選手たちをしっかり鍛えて、東北のために戦わせなければいけないという気になりました」と決意表明した。

ルーキー時代に指導したDF蜂須賀孝治(30)とランニングしながら会話をする場面もあり「去年のチームの雰囲気とか僕がいたころの雰囲気を知っているハチ(蜂須賀)にいろいろな情報を取りながら自分がどういうアプローチをしなければいけないのかを情報交換した」と明かし、「ハチ(8)が成長したら9か10になっているかと思ったらハチのままじゃないかと笑わせました」と手倉森節のダジャレも健在だった。

今季は東日本大震災から10年の節目。11年に4位、12年に2位と「希望の光」になった当時の再現を狙う。2月27日にアウェー・サンフレッチェ広島戦で開幕し、ホーム初戦の第2節は3月6日にJ1王者川崎フロンターレと対戦する。開幕12戦不敗(6勝6分け)を誇った11年も開幕戦から広島、川崎Fの順で戦って勢いづいた。

10年前を振り返り、手倉森監督は「ありがたいストーリーをJリーグが作ってくれたと感謝しなければいけない。震災の年の開幕が広島で、再開後が川崎。それを引き分け、勝ちと持っていったときに我々の躍進が始まったとなれば、2つ勝ち点を取れる状況になると我々は一気に波に乗れる。昨年はホーム未勝利で、今年のホーム1発目が王者川崎となれば、それはそれは大きな勝ち点になる。去年(勝ち点を)取れなかった分、一気に鬱憤(うっぷん)を晴らすかのように、いい入り方をしたい」と力を込めた。

昨季は成績低迷、選手の不祥事、経営危機と暗い話題が多い1年だった。

「『逆境を乗り越えようとするパワーは、自らを成長させるし、乗り越えたときに希望の光になれるんだ』と今日のミーティングでも話しました。みんな、目が真剣になってやってやろうという顔になったので、やってくれると思います」

開幕まで40日。手倉森ベガルタの挑戦が始まった。【山田愛斗】