11年ぶりの優勝を目指す昨季3位の名古屋グランパスが、実力通りの開幕勝利を収めた。スコアは1点差だったが、5年ぶりにJ1復帰を果たしたアビスパ福岡に内容で圧倒した。

就任3年目を迎えたフィッカデンティ監督(53)は「試合の入りはすごくよく、満足している。ああいう(オウンゴールで1点差に詰め寄られる)展開になると、パワープレーで同点を許すことも想像したが、厳しく勝ちきれた。結果として満足している」と、残り約10分で守勢に回りながら耐え続けた選手を評価した。

前半4分にMFマテウスが先制点を挙げた。左サイドで最初に相手選手を股抜きで突破し、次の選手をフェイントでかわし、最後はGKにも股抜きから左足でゴールを奪った。ブラジル選手特有の高度な個人技術を駆使した。

マテウスは「最後の股抜きは、とりあえずGKとの距離、相手が両足を開いていたのを確認して、距離が短い中で速いシュートを打てば対応できないと思った」と解説。昨季9得点のストライカーは「チームに貢献するのが優先で、その中で昨年の数字を超えられれば最高です」と謙虚な姿勢を口にした。後半にも相手クリアミスから再び左足で追加点を奪い、この日全2得点の大活躍だった。

18チーム中で最少失点だった昨季の堅守を武器に、名古屋は今季、攻撃力の飛躍が目標だった。セレッソ大阪から加入した元日本代表FW柿谷が先発入りしたが、それ以外は既存のメンバーで先発を組んだ。攻撃陣はFW山崎、相馬、マテウス、柿谷と強烈な個性を持つ顔ぶれが担った。

マテウスの先制点を演出した相馬は「自分が得点すると意気込んでいただけに、できなかったので悔しさもあるが、勝てたのでよかった」と自己採点しつつ「動けちゃう、行けちゃう」と体がキレキレだったことを強調。放った2本のシュートも強烈だった。優勝実現へ、まずは名古屋が順調なスタートを切った。【横田和幸】