名古屋グランパスが、湘南ベルマーレに得意の「ウノゼロ(1-0)」勝利で7試合ぶりの白星を手にした。

0-0の後半29分、札幌から期限付き移籍の新加入で、先発でデビューしたDFキム・ミンテが、CKから頭で決勝ゴール。CKを蹴ってアシストしたのが、当初はベンチ外の予定だったFW相馬だった。

勝負事は何が幸いするか分からない。先発予定だったFWガブリエル・シャビエルが、試合前練習中にフィッカデンティ監督いわく「筋肉系の問題」に見舞われ急きょ、出場できなくなった。ベンチスタートだったMF阿部を先発、そして相馬をベンチに入れた。指揮官は相馬を入れた理由に「理由どうこうを説明できる部分ではないが」と詳細には語らなかったが、勝負師の勘が働いたのだろう。

東京五輪で活躍した相馬は、試合前のセレモニーのためにピッチに下りようとした時、電話が鳴ったという。「観戦の準備をしていたんで、そこから準備しました」。後半25分からの出場。「0-0、攻撃の選手としては入れるもっともいい状態」。急仕上げでもさすがの存在感で左サイドから再三チャンスを作り、ゴールをこじ開ける大仕事を成し遂げた。

チームはこの試合まで6試合勝ちなし。五輪で離れている間も気がかりだったが、この勝利を機に「(チームがいい状態に戻る)手応えはあります」。新戦力もだが、相馬も欠かせない戦力。足踏みしていた名古屋が、再び戦える体制を整えてきた。【実藤健一】